新型「スープラ」の生産委託先が象徴する、トヨタの経営戦略

オーストリアのマグナ・シュタイヤーに委託方針

 トヨタ自動車が2019年前半に発売するスポーツ車「スープラ」の生産全量を、オーストリアのマグナ・シュタイヤーに委託する方針であることが分かった。生産台数は年数千台程度とみられる。マグナにとって日系メーカーの車両生産は初めて。自動運転や電気自動車(EV)といった次世代車の開発競争が激化しており、トヨタは経営効率の向上をテーマに掲げる。外部生産委託の拡大もその一環となる。

 新型スープラは14日(日本時間15日)から始まる「北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)」で市販モデルが公開される。

 17年ぶりに市販される新型スープラは、独BMWとの共同開発。BMWのスポーツ車「Z4」と車台を共用するほか、パワートレーンなどでBMW製の部品を採用する。マグナはグラーツ工場(グラーツ)で18年からZ4の生産を手がけており、生産効率の面からも同拠点への生産委託を決めたとみられる。19年前半にも生産を始める。

 EVや自動運転車など次世代自動車の技術競争が激化する中、自動車メーカーの開発投資はかさむ傾向にある。トヨタも「ホーム&アウェー」のかけ声でグループを含めた事業再編を進めており、18年にはバン事業をトヨタ車体に移管した。「大量生産は自社でやるが、少量生産は“ホーム&アウェー”の観点でみる」(幹部)との考えで、生産の最適化を推進する。

 これまでもダイハツ工業やSUBARU(スバル)など資本提携先での生産委託はあったが、提携関係のない車両メーカーが請け負う事例は少ない。トヨタの決断は経営効率を追う車両メーカーの今後の戦略を象徴する。
(文=政年佐貴恵)

日刊工業新聞2019年1月11日

中西 孝樹

中西 孝樹
01月12日
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来週のデトロイトモーターショーで豊田社長自ら新型スープラのお披露目発表を行う。皆が注目するCESではあえて会社としての展示を見送り、今年は逆風のデトロイトに臨む。それだけ、スープラという車両がトヨタにとって特別であり、過去10年の豊田社長の経営の総括の1台であるということだ。しかし、効率軸を忘れてはおらず、開発、生産ともにBMWとのアライアンスを最大限に活用するのである。

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