トヨタ社長・自工会会長・モリゾウ…発言で振り返る自動車業界の激動
2019年はどんな年に?
2018年、トヨタ自動車の豊田章男社長は、トヨタ社長と日本自動車工業会会長、ドライバー・モリゾウの3つ姿を使い分け、大変革の中を縦横無尽に駆け抜けた。1年間の発言を振り返ると、トヨタや自動車業界が「CASE」や「税」、「組織改革」、「クルマの魅力」にどう向き合ってきたかが見えてくる。
「トヨタを車の会社からモビリティー(移動性)の会社に変えるのが私の目標だ」
(1月10日掲載)
米家電見本市「CES」に先駆けてラスベガスで会見した豊田社長。移動や物流、物販などEV「e―パレットコンセプト」や、米アマゾン・ドット・コムや中国・滴滴出行など5社との協業を公表した。2018年はこの言葉通り、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の大変革に対してトヨタは大きく動いた。
「AI(人工知能)を進化させるのは人の知恵と改善。AIを良きライバルとし、切磋琢磨(せっさたくま)しながら匠(たくみ)の技を身に付けていかなければならない」
(2月23日掲載)
企業内訓練校「トヨタ工業学園」の卒業式で卒業生へ贈った一言。
「変化の激しい時代だからこそ、『らしさ』とは何かを追い求めなければならない」。「3秒、がむしゃらに働く気持ちでやってごらんと言うとみんなできる。それを続けてくれれば良い」。
(4月3、11日掲載)
入社式での新入社員への一言。
「たゆまぬ改善というトヨタらしさが表れはじめた決算だ」。「ライバルも競争のルールも変わり、まさに未知の世界での『生死を賭けた闘い』が始まっている」。「『従来の延長線上にある成り行きの未来』と決別し、『自分たちの手で切りひらく未来』を選択した」。
(5月10日掲載)
2018年3月期連結決算発表会見での一言。当期純利益は日本企業として過去最高。これを達成した社員の努力を称えつつ、過去の成功体験だけでは乗り切れない時代の変化を前に、それを上回る社内の変革を促す。
「100年に一度と言われる大変革の時代に身の引き締まる思い」。「19年の東京モーターショーを重要なマイルストーンと考え未来のモビリティー社会の一端をお見せする」。「世界と比較して日本の税金は本当に高い。せめて国際基準にすることが必要」。
(5月18、21日掲載)
日本自動車工業会(自工会)会長への就任を受けての一言。会長職への2度目の登板は過去に例がない。東京五輪や消費増税を前にした重要なタイミング。相次ぐ品質不正については、「モノづくり大国日本の根底が崩れかけているのかもしれない」と懸念を示した。
「内なる闘いをしている場合ではない」。「グループ全体の企業価値を高めることが必要」。
(6月15日掲載)
定時株主総会で、提携戦略やグループ事業の連携・再編を積極化する意義を説明した。日本一稼ぐ会社であっても、経営資源は有限だと捉え、変革を急ぐ。
「悲願だったル・マン24時間レースでの勝利を、我々はようやく手にすることができた」。「思いっきり走ってくれて、ありがとう!」
(6月19日掲載)
フランスで16―17日に開かれた世界耐久選手権(WEC)の第2戦、第86回ル・マン24時間レースで初の栄冠に輝いた。通算20回目の挑戦での初制覇に喜びを爆発させた。
「生意気な言い方だがトヨタ自動車の社長というよりはドライバー『モリゾウ』というアイコン(偶像)を十二分に活用したい。今年も広島県や長野県、福井県、群馬県でラリーに参加したが、モリゾウを見たいという人が増えている。『クルマ好き』を全面的に出してクルマの楽しさやクルマが果たすべきミッションを発信していきたい」。
(7月18日掲載)
連載「広角」より。
「(自動車の国内生産は)やはり1000万台くらいが必要なイメージを持っている」。「自動運転や人工知能(AI)など新しい分野の技術を実用化に落とし込むステージにおいては、この日本の現場力という強みが最も生きてくる」。
(7月19日掲載)
連載「広角」より。
「新たなモビリティー社会を生むには仲間が必要だ」。「未来のモビリティーとAI(人工知能)というお互いの違った得意分野を加味しながら、日本だけでなく、世界の未来に向けて挑戦する」。
(10月5日、8日掲載)
トヨタ自動車とソフトバンクグループは、自動運転技術などを用いる移動サービス事業で業務提携すると発表した。1つ目のコメントは発表会見、2つ目は東京モーターフェスのトークショーでの一言。両社は日本企業の時価総額1位、2位の関係にある。日本を大きく動かすのだろうか。
「これまでにない地域密着型のサービスを生み出すことが可能になる」。
(11月2日掲載)
全国のトヨタ販売店で全車種の併売、東京で販売店の試乗車などを用いるシェアリングサービスの本格展開を始めると発表。変革によって得られるものを説いた。
「階層を減らすことによって、これまで以上のスピードで即断、即決、即実行できるトヨタに生まれ変わる」。「その時々に必要となる一芸を持ったその道のプロが、年齢や学歴に関係なく、縦横無尽に活躍できる企業風土をつくることが何よりも大切だ」。
(12月3日掲載)
2019年1月1日付の組織改正。幹部職を新設し、常務役員、常務理事と、部長や主査などに当たる基幹職1級、主査や室長などの基幹職2級を統合することなどを発表した。
「70年近くが経過した自動車税に初めて風穴を開け、恒久減税を実現いただいた。自動車重量税エコカー減税については購入・保有にかかる税負担を極力軽減し、需要平準化に配慮する方向で延長されたことを歓迎する」
(12月17日掲載)
19年度の与党税制改正大綱を受けて、自工会会長としてコメント。消費増税を前に、減税は重要なミッションだった。
すべてはここから始まる
「トヨタを車の会社からモビリティー(移動性)の会社に変えるのが私の目標だ」
(1月10日掲載)
米家電見本市「CES」に先駆けてラスベガスで会見した豊田社長。移動や物流、物販などEV「e―パレットコンセプト」や、米アマゾン・ドット・コムや中国・滴滴出行など5社との協業を公表した。2018年はこの言葉通り、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の大変革に対してトヨタは大きく動いた。
「AI(人工知能)を進化させるのは人の知恵と改善。AIを良きライバルとし、切磋琢磨(せっさたくま)しながら匠(たくみ)の技を身に付けていかなければならない」
(2月23日掲載)
企業内訓練校「トヨタ工業学園」の卒業式で卒業生へ贈った一言。
「変化の激しい時代だからこそ、『らしさ』とは何かを追い求めなければならない」。「3秒、がむしゃらに働く気持ちでやってごらんと言うとみんなできる。それを続けてくれれば良い」。
(4月3、11日掲載)
入社式での新入社員への一言。
内なる闘いをしている場合ではない
「たゆまぬ改善というトヨタらしさが表れはじめた決算だ」。「ライバルも競争のルールも変わり、まさに未知の世界での『生死を賭けた闘い』が始まっている」。「『従来の延長線上にある成り行きの未来』と決別し、『自分たちの手で切りひらく未来』を選択した」。
(5月10日掲載)
2018年3月期連結決算発表会見での一言。当期純利益は日本企業として過去最高。これを達成した社員の努力を称えつつ、過去の成功体験だけでは乗り切れない時代の変化を前に、それを上回る社内の変革を促す。
「100年に一度と言われる大変革の時代に身の引き締まる思い」。「19年の東京モーターショーを重要なマイルストーンと考え未来のモビリティー社会の一端をお見せする」。「世界と比較して日本の税金は本当に高い。せめて国際基準にすることが必要」。
(5月18、21日掲載)
日本自動車工業会(自工会)会長への就任を受けての一言。会長職への2度目の登板は過去に例がない。東京五輪や消費増税を前にした重要なタイミング。相次ぐ品質不正については、「モノづくり大国日本の根底が崩れかけているのかもしれない」と懸念を示した。
「内なる闘いをしている場合ではない」。「グループ全体の企業価値を高めることが必要」。
(6月15日掲載)
定時株主総会で、提携戦略やグループ事業の連携・再編を積極化する意義を説明した。日本一稼ぐ会社であっても、経営資源は有限だと捉え、変革を急ぐ。
モリゾウを十二分に活用
「悲願だったル・マン24時間レースでの勝利を、我々はようやく手にすることができた」。「思いっきり走ってくれて、ありがとう!」
(6月19日掲載)
フランスで16―17日に開かれた世界耐久選手権(WEC)の第2戦、第86回ル・マン24時間レースで初の栄冠に輝いた。通算20回目の挑戦での初制覇に喜びを爆発させた。
「生意気な言い方だがトヨタ自動車の社長というよりはドライバー『モリゾウ』というアイコン(偶像)を十二分に活用したい。今年も広島県や長野県、福井県、群馬県でラリーに参加したが、モリゾウを見たいという人が増えている。『クルマ好き』を全面的に出してクルマの楽しさやクルマが果たすべきミッションを発信していきたい」。
(7月18日掲載)
連載「広角」より。
「(自動車の国内生産は)やはり1000万台くらいが必要なイメージを持っている」。「自動運転や人工知能(AI)など新しい分野の技術を実用化に落とし込むステージにおいては、この日本の現場力という強みが最も生きてくる」。
(7月19日掲載)
連載「広角」より。
生まれ変わる
「新たなモビリティー社会を生むには仲間が必要だ」。「未来のモビリティーとAI(人工知能)というお互いの違った得意分野を加味しながら、日本だけでなく、世界の未来に向けて挑戦する」。
(10月5日、8日掲載)
トヨタ自動車とソフトバンクグループは、自動運転技術などを用いる移動サービス事業で業務提携すると発表した。1つ目のコメントは発表会見、2つ目は東京モーターフェスのトークショーでの一言。両社は日本企業の時価総額1位、2位の関係にある。日本を大きく動かすのだろうか。
「これまでにない地域密着型のサービスを生み出すことが可能になる」。
(11月2日掲載)
全国のトヨタ販売店で全車種の併売、東京で販売店の試乗車などを用いるシェアリングサービスの本格展開を始めると発表。変革によって得られるものを説いた。
「階層を減らすことによって、これまで以上のスピードで即断、即決、即実行できるトヨタに生まれ変わる」。「その時々に必要となる一芸を持ったその道のプロが、年齢や学歴に関係なく、縦横無尽に活躍できる企業風土をつくることが何よりも大切だ」。
(12月3日掲載)
2019年1月1日付の組織改正。幹部職を新設し、常務役員、常務理事と、部長や主査などに当たる基幹職1級、主査や室長などの基幹職2級を統合することなどを発表した。
感謝の気持ちで締めくくった1年
「70年近くが経過した自動車税に初めて風穴を開け、恒久減税を実現いただいた。自動車重量税エコカー減税については購入・保有にかかる税負担を極力軽減し、需要平準化に配慮する方向で延長されたことを歓迎する」
(12月17日掲載)
19年度の与党税制改正大綱を受けて、自工会会長としてコメント。消費増税を前に、減税は重要なミッションだった。