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新しいモビリティー実用化へ、政府・予算に見る各省の意気込み

連載・拓く 2019年度予算より
新しいモビリティー実用化へ、政府・予算に見る各省の意気込み

空飛ぶクルマを開発する有志団体「CARTIVATOR」の実験機

 新しいモビリティーの実用化に向け、各省が開発支援に力を注いでいる。自動運転については経済産業省や総務省などが2019年度予算案に計上。また操縦士が不要の電動航空機「空飛ぶクルマ」についても、経産省が同予算案に必要経費を盛り込んだ。次世代の移動手段を利用できる社会が近づいている。

 自動運転については、経産省が「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業費」に42億円を計上した。複数台のトラックによる隊列走行などに向け、安全性評価技術の開発を推進。また公道を含む実証事業で環境整備に取り組む。経産省幹部は「地域の人手不足や“移動弱者”(移動手段に不自由する人々)を解消する」と力を込める。

 また総務省は20年に始まる第5世代通信(5G)の整備費用などとして、52億5000万円を新規に計上した。5Gは遅延が少なく高速・大容量通信を特徴としており、自動運転には不可欠の通信インフラだ。総務省は将来、自動運転に利用されることを見据え、通信網を整備する。

 一方、空飛ぶクルマについては、経産省が「次世代電動航空機に関する技術開発事業」として7億円を新規に盛り込んだ。高出力で軽量な蓄電池、モーターなど中核技術に加え、電気推進システムを開発する。空飛ぶクルマだけでなく、大型航空機の電動化への転用も想定する。

 空飛ぶクルマについては、実用化の目標時期を23年とする工程表を取りまとめたばかり。機体メーカーの開発の動きと歩調を合わせ、経産省は開発支援などに取り組む方針だ。世耕弘成経産相は「日本の将来産業のロールモデル(手本)になりうる」と期待を示しており、“空の移動革命”につなげる。
(文=敷田寛明、大城蕗子)
日刊工業新聞2018年12月28日

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