日本電産が欧州車大手へ攻勢、吉本社長の独自色どこまで
ハンガリー工場の増強検討
日本電産は2021年までに、車載向けポンプを生産するハンガリーの工場の生産能力を倍増する検討を始めた。投資額は50億円前後とみられる。既存工場の設備を増強するほか、同工場の敷地内に新たに生産棟を建設する。同社は車載向け事業を成長分野として強化している。欧州の自動車メーカーや1次部品メーカーへの拡販を加速し、欧州市場を深耕する。
日本電産の吉本浩之社長は20日、日刊工業新聞の取材に応じ、車載向けポンプの需要が旺盛であることから「段階的に設備投資を行う」との考えを示した。自動車エンジンやトランスミッションの冷却用オイルポンプなどのほか、電気自動車(EV)に必要な電動ポンプなどの生産能力を引き上げる。内製化に向けた投資も進め、生産コストを削減する。
同社は21年3月期の車載向け事業の売上高を、M&A(合併・買収)の効果も含めて最大1兆円に設定している。“適地生産”の体制を重視し、EV向け駆動用モーターの生産拠点は、19年に量産を始める中国に加えてポーランド、メキシコの3極体制にする。吉本社長は「当面は3極」と述べた。その上で、将来はインドなどを適地生産の地域に加える考えを示唆した。
「経営力を見るには、ダメな会社を再生させて見たら分かる」。永守会長は吉本氏を選んだ理由を語る。吉本氏が日本電産に入社したのは2015年。初めは日本電産トーソクの社長、その後に車載事業本部といずれも事業を成長軌道に乗せた。自分よりも20歳以上も若い吉本氏の年齢についても「その当時の私の経営のやり方より、彼の方が優れているんじゃないか」と評する。
記者会見で吉本氏は座右の銘を問われ「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」と応じた。言うまでもなく、これは日本電産の経営を体現する永守氏の言葉だ。これを挙げるほど、「永守会長の経営哲学にひかれた。波長が自分にも合っている」(吉本氏)という。
会見要旨/永守氏「自分が50歳の時と同等以上の人を任命した」
日本電産の永守重信会長兼社長CEO、次期社長の吉本浩之副社長の記者会見で主なやりとりは次の通り。
―打診した時期は。
永守氏 2017年の12月頃に打診したら、遠慮がちではなく『分かりました!』と即答し、あっけにとられた。自分より年上の人にも指示ができる人材。若い経営者の必須条件を満たしている。
―選んだ理由は。
永守氏 わが社は実績主義だから後継者は若い人と決めていた。自分が50歳の時にどういう仕事をしていたのか、それと同等以上の人を任命した。吉本氏は経営の経験も豊富だ。
―カリスマ経営者と言われています。バトンを渡す難しさは。
永守氏 吉本氏とは年齢が約二回り違う。接していても『なるほどな』と思う発想がある。二人三脚で一緒に歩んでいきたい。まず3割の仕事を任せ、私が7割を担当する。2―3年内に5割を任せたい。
―社長に指名された率直な感想は。
吉本氏 不安がないと言えばうそになるが、非常に光栄。プレッシャーもあるが、大きなチャンスと捉えている。
―経営のかじをどう取りますか。
吉本氏 日本電産のこれまでの路線は、全く変えない。世の中になくてはならない工業製品を基に成長し、社会に貢献していく。(30年に目指す)売上高10兆円突破以降、100年以上続く会社にするための礎を作りたい。
―目指す企業の姿は。
吉本氏 グローバルエクセレントな会社にしたい。グローバルな企業は数多くある。しかし、その中でも優れている企業に、世界中の人たちに尊敬されるような企業になるための礎を作りたい。
※内容、肩書きは当時のもの
日本電産の吉本浩之社長は20日、日刊工業新聞の取材に応じ、車載向けポンプの需要が旺盛であることから「段階的に設備投資を行う」との考えを示した。自動車エンジンやトランスミッションの冷却用オイルポンプなどのほか、電気自動車(EV)に必要な電動ポンプなどの生産能力を引き上げる。内製化に向けた投資も進め、生産コストを削減する。
同社は21年3月期の車載向け事業の売上高を、M&A(合併・買収)の効果も含めて最大1兆円に設定している。“適地生産”の体制を重視し、EV向け駆動用モーターの生産拠点は、19年に量産を始める中国に加えてポーランド、メキシコの3極体制にする。吉本社長は「当面は3極」と述べた。その上で、将来はインドなどを適地生産の地域に加える考えを示唆した。
日刊工業新聞2018年12月21日
カリスマからバトンタッチ、吉本社長はどんな人?
「経営力を見るには、ダメな会社を再生させて見たら分かる」。永守会長は吉本氏を選んだ理由を語る。吉本氏が日本電産に入社したのは2015年。初めは日本電産トーソクの社長、その後に車載事業本部といずれも事業を成長軌道に乗せた。自分よりも20歳以上も若い吉本氏の年齢についても「その当時の私の経営のやり方より、彼の方が優れているんじゃないか」と評する。
記者会見で吉本氏は座右の銘を問われ「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」と応じた。言うまでもなく、これは日本電産の経営を体現する永守氏の言葉だ。これを挙げるほど、「永守会長の経営哲学にひかれた。波長が自分にも合っている」(吉本氏)という。
会見要旨/永守氏「自分が50歳の時と同等以上の人を任命した」
日本電産の永守重信会長兼社長CEO、次期社長の吉本浩之副社長の記者会見で主なやりとりは次の通り。
―打診した時期は。
永守氏 2017年の12月頃に打診したら、遠慮がちではなく『分かりました!』と即答し、あっけにとられた。自分より年上の人にも指示ができる人材。若い経営者の必須条件を満たしている。
―選んだ理由は。
永守氏 わが社は実績主義だから後継者は若い人と決めていた。自分が50歳の時にどういう仕事をしていたのか、それと同等以上の人を任命した。吉本氏は経営の経験も豊富だ。
―カリスマ経営者と言われています。バトンを渡す難しさは。
永守氏 吉本氏とは年齢が約二回り違う。接していても『なるほどな』と思う発想がある。二人三脚で一緒に歩んでいきたい。まず3割の仕事を任せ、私が7割を担当する。2―3年内に5割を任せたい。
―社長に指名された率直な感想は。
吉本氏 不安がないと言えばうそになるが、非常に光栄。プレッシャーもあるが、大きなチャンスと捉えている。
―経営のかじをどう取りますか。
吉本氏 日本電産のこれまでの路線は、全く変えない。世の中になくてはならない工業製品を基に成長し、社会に貢献していく。(30年に目指す)売上高10兆円突破以降、100年以上続く会社にするための礎を作りたい。
―目指す企業の姿は。
吉本氏 グローバルエクセレントな会社にしたい。グローバルな企業は数多くある。しかし、その中でも優れている企業に、世界中の人たちに尊敬されるような企業になるための礎を作りたい。
2018年2月16日掲載、社長交代発表会見の記事より抜粋)
※内容、肩書きは当時のもの