【独白】日本電産・永守重信「私が出社時間を6時半から7時に遅くした理由」
社長交代を発表、「最も大きな課題は私自身の働き方改革」
日本電産は15日、吉本浩之副社長(50)が6月20日付で社長兼最高執行責任者(COO)に昇格すると発表した。永守重信会長兼社長(73)は代表権のある会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。永守氏が日刊工業新聞に語った後継者像とは。
日本企業の生産性が低い要因は二つあるとみている。一つは英語力が不足していることだ。出張にいちいち通訳を同伴させたり、海外からの電話に対応できる人を探して右往左往したりするというムダが発生している。
もう一つは管理職の管理能力の低さだ。部下が何のために残業をしているか把握できていないから、残業申請があればただ承認のはんこを押している。本来残業とは、上司が部下に指示をして行うものだ。
この二つの課題に徹底的に取り組んでいる。会社に外部の専門家を招いて、英語や管理職の講習をしてもらっている。残業削減で浮いた時間をこうした研修の時間に充てている。もちろん専門家の先生には「あなたの研修で成果がでなければ辞めてもらいますよ」としっかり伝えている。
国も働き方改革を訴え、法案も準備しているが、残業時間を規制するだけでは失敗する。そもそも社員は残業代が減るのを心配しているのだから。政府は「空いた時間で生活をエンジョイして」と言うよりも「生産性を上げて所得を増やそう」ということをもっと訴えるべきだ。
日本電産も女性の活用はまだまだだ。そもそも「この会社に入ったら夜遅くまで働かされる」というイメージが定着し、敬遠されていた。今は社員にどんな改善をすればいいか意見を出してもらい、それをどんどん実現させている。子会社の通勤に専用の送迎バスも導入した。
最も大きな課題は私自身の働き方改革かもしれない。ただ、今まで6時30分に出勤していたのを7時にし、さらに遅くするなど少しずつ変えている。大量の社員向け年賀状返信もすべてにコメントを入れていたが、今年からやめた。
いずれ近いうちに社長のバトンを渡すことも考えている。できれば20歳程度若返らせて、海外にもどんどん出かけられる元気な人がいい。以前はいろいろと後継者について考えていたが、未熟でも思い切ってやらせてみて、私が横で見て育てていけばいいと思うようになった。
もちろん創業者としての言葉は私が語り続けなければならないし、ベンチャーや中小企業の経営者の育成も続けていきたい。一方で、社内の決裁などの業務は社長がやっていけばいい。私の最大の働き方改革は次期社長を作ることから始まる。
未熟でも思い切ってやらせて私が横で育てる
日本企業の生産性が低い要因は二つあるとみている。一つは英語力が不足していることだ。出張にいちいち通訳を同伴させたり、海外からの電話に対応できる人を探して右往左往したりするというムダが発生している。
もう一つは管理職の管理能力の低さだ。部下が何のために残業をしているか把握できていないから、残業申請があればただ承認のはんこを押している。本来残業とは、上司が部下に指示をして行うものだ。
この二つの課題に徹底的に取り組んでいる。会社に外部の専門家を招いて、英語や管理職の講習をしてもらっている。残業削減で浮いた時間をこうした研修の時間に充てている。もちろん専門家の先生には「あなたの研修で成果がでなければ辞めてもらいますよ」としっかり伝えている。
国も働き方改革を訴え、法案も準備しているが、残業時間を規制するだけでは失敗する。そもそも社員は残業代が減るのを心配しているのだから。政府は「空いた時間で生活をエンジョイして」と言うよりも「生産性を上げて所得を増やそう」ということをもっと訴えるべきだ。
日本電産も女性の活用はまだまだだ。そもそも「この会社に入ったら夜遅くまで働かされる」というイメージが定着し、敬遠されていた。今は社員にどんな改善をすればいいか意見を出してもらい、それをどんどん実現させている。子会社の通勤に専用の送迎バスも導入した。
最も大きな課題は私自身の働き方改革かもしれない。ただ、今まで6時30分に出勤していたのを7時にし、さらに遅くするなど少しずつ変えている。大量の社員向け年賀状返信もすべてにコメントを入れていたが、今年からやめた。
いずれ近いうちに社長のバトンを渡すことも考えている。できれば20歳程度若返らせて、海外にもどんどん出かけられる元気な人がいい。以前はいろいろと後継者について考えていたが、未熟でも思い切ってやらせてみて、私が横で見て育てていけばいいと思うようになった。
もちろん創業者としての言葉は私が語り続けなければならないし、ベンチャーや中小企業の経営者の育成も続けていきたい。一方で、社内の決裁などの業務は社長がやっていけばいい。私の最大の働き方改革は次期社長を作ることから始まる。
日刊工業新聞2018年1月25日