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業界初の“描画ロボット”が建設現場の課題解決に挑む

新菱冷熱工業が開発、省人化や施工品質の向上に期待がかかる
業界初の“描画ロボット”が建設現場の課題解決に挑む

写真はイメージ       

 新菱冷熱工業(東京都新宿区、加賀美猛社長、03・3357・2151)は、建設現場の床面に施工図を描画するロボットを開発した。作業員の操作や監視が必要なく、夜間の利用で工期の短縮につながる。首都圏の再開発などで工事が活発化する中、現場の人手不足が深刻化している。そうした課題の解決に寄与する。2020年に自社が手がける工事への導入を目指す。

 無人稼働の描画ロボットを実用化するのは建設業界で初めてという。2人の作業員が機器や配管の位置を決めるため、床面に線や文字を描く作業(墨出し)をなくせる。建物や設備の3次元(3D)モデルに部材の仕様などの属性を付与した「BIMデータ」を活用し、機器の据え付け位置や高さ、配管やダクトの系統名などを描画する。多色で鮮明な線や文字を描くことで視認性を確保する。

 現場の省力化とともに施工品質の向上も見込める。施工図なしに機器などを取り付けることができ、施工後の確認も可能。工事の受注環境が当面は堅調な状況で、安全面を含めた実証を経て自社の現場に導入する。

 新菱冷熱工業は自動化技術の活用を進めており、設備劣化や運転状況の確認に遠隔操作の監視ロボを導入している。天井裏やダクト内部など、作業員の立ち入りが難しい場所をカメラで確認できる。

 建設業界では人手不足の課題解消へロボの実用化が進む。日立プラントサービス(東京都豊島区)は墨出しを自動化するロボを開発。清水建設も高層ホテルの建設に、自律型の建設ロボを導入している。
                 
日刊工業新聞2018年12月21日

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