若者が使いたくなる“ふくさ”開発に試行錯誤
大一創芸、きっかけは1社専業状態への危機感
ご祝儀や香典など冠婚葬祭でお金を渡す時に包むものとして使用する「ふくさ」。日本人の伝統ある奥ゆかしさを体現する象徴品ともいえるが、近年は若者を中心に使われなくなってきた。そんな状況を打破しようと、伝統と機能を両立させたふくさの開発に尽力するのが、大一創芸(大阪府八尾市、大山完一社長、072・999・6414)だ。
大一創芸は1978年、観光物産品の製造卸を手がける会社として創業。巾着などの布製品も生産していたため、ふくさの取り扱いを始めた。そのうち事業のほぼ100%がふくさのOEM(相手先ブランド)生産となり、中でも1社の割合が2016年時点で約80%を占めた。「(1社専業状態では)いずれ会社が立ちゆかなくなる」(大山誠専務)と危機感を抱いたのを機に、自社商品を手がける事を決めた。
ただ慶事と弔事で包み方が変わるなど使用時の煩わしさから、ふくさを使用する人が減っている現実に直面した。大山専務は「ふくさの再興」を掲げ、若者をターゲットとする「スタイルふくさ」をオリジナルブランドとして15年に立ち上げた。同商品は慶事と弔事の両方に対応したリバーシブル柄や、普段使いもできる北欧風のおしゃれなデザインなどを採用。マグネットで開閉し使用後は小さく折りたためる「スマートふくさ」など、スタイリッシュな商品もそろえた。
スタイルふくさは、マナー面で年配の人から疑問の声も届くという。大山専務は「敷居をできるだけ下げ、若い人が使いたくなるものを作りたい」とし、ふくさの普及を目的の中心に据える姿勢を貫く。
中小企業が新製品を持ち寄るモニタリングイベントなどに、新スタイルのふくさを持って参加している。そこでは、おしゃれでかわいらしいものだけでなく、若者も無難でシンプルなふくさを求めているという新たな気づきがあった。伝統的なふくさをいかに使いやすくできるか、同社の挑戦は続いている。
大一創芸は1978年、観光物産品の製造卸を手がける会社として創業。巾着などの布製品も生産していたため、ふくさの取り扱いを始めた。そのうち事業のほぼ100%がふくさのOEM(相手先ブランド)生産となり、中でも1社の割合が2016年時点で約80%を占めた。「(1社専業状態では)いずれ会社が立ちゆかなくなる」(大山誠専務)と危機感を抱いたのを機に、自社商品を手がける事を決めた。
ただ慶事と弔事で包み方が変わるなど使用時の煩わしさから、ふくさを使用する人が減っている現実に直面した。大山専務は「ふくさの再興」を掲げ、若者をターゲットとする「スタイルふくさ」をオリジナルブランドとして15年に立ち上げた。同商品は慶事と弔事の両方に対応したリバーシブル柄や、普段使いもできる北欧風のおしゃれなデザインなどを採用。マグネットで開閉し使用後は小さく折りたためる「スマートふくさ」など、スタイリッシュな商品もそろえた。
スタイルふくさは、マナー面で年配の人から疑問の声も届くという。大山専務は「敷居をできるだけ下げ、若い人が使いたくなるものを作りたい」とし、ふくさの普及を目的の中心に据える姿勢を貫く。
中小企業が新製品を持ち寄るモニタリングイベントなどに、新スタイルのふくさを持って参加している。そこでは、おしゃれでかわいらしいものだけでなく、若者も無難でシンプルなふくさを求めているという新たな気づきがあった。伝統的なふくさをいかに使いやすくできるか、同社の挑戦は続いている。
【メモ】ふくさは貴重品などが収蔵された箱上に掛けられていた風呂敷が起源。風呂敷は贈答品を運ぶ際の日よけや汚れ防止に使われるようになり、1枚の布地から裏地付きの絹布に変化していった。それが四隅に房の付いたものへと変化し、慶事、弔事のお金や品物を送る際の儀式に使う用品として、ふくさが誕生。黒塗りの盆(広蓋)と一緒に使われることが多い。
日刊工業新聞2018年12月21日