外国人は商店街でワクワクする!

 商店街にインバウンド(訪日外国人)消費を取り込め―。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人観光客が増加する中、外国人による国内消費額も増え続けている。国内市場の縮小に直面する中小の小売り業が集積する商店街では、インバウンドの取り込みがビジネス拡大のポイントとなる。経済産業省・中小企業庁は、地域の役割や実態に合わせた支援策を打ち出し、ビジネスチャンスを後押ししている。

 観光庁によると、2017年の訪日外国人観光客は2869万人、消費額は4兆4000億円を上回った。18年1月から4月にかけて日本を訪れた外国人観光客は過去最速の1000万人を突破している。

 政府は観光関連産業を地方創生や成長戦略の柱の一つに据え、20年までに訪日外国人観光客4000万人、消費額を8兆円に成長させる目標を打ち出した。カギのひとつを握るのが“商店街活性化”だ。

 政府の『明日の日本を支える観光ビジョン』の施策に「地方の商店街などにおける観光需要の獲得・伝統工芸品などの消費拡大」が盛り込まれた。旺盛な訪日客の消費を取り込み地域の稼ぐ力を引き出すのが狙いだ。

 商店街活性化の施策を担う企業庁は、「生活支援型」「エリア価値向上型」「観光型(外需獲得型)」などに分類し、商店街が目指す機能や規模、成長ステージに応じた施策を進めている。

 うち旅行者をターゲットとした「観光型」では、訪日客が商店街に来訪する際に大きな障壁の“言葉の壁”を取り払うため、多言語での案内や無料Wi―Fi(ワイファイ)環境の拡充などのインフラ環境の整備のほか、免税手続きカウンターや空き店舗を活用した外国人向け宿泊施設など受け入れ環境の整備を進める取り組みを補助金事業などを通じ支援している。

 また、商店街は買い物の場だけでなく、日本の歴史や伝統文化が凝縮された空間でもある。訪日客向けに着物で日本文化を体験するアクティビティーや博物館と連携した文化イベントなど、地域資源とマッチングした“コト消費”の取り組みも積極的に支援している。

 標高929メートルの御岳山の頂上にある武蔵御獄神社前に門前商店街がある。御岳山商店組合(東京都青梅市)は、芸者の「芸」を体験できるイベント「天空芸者ナイト」を開催した。

 日英併記のチラシの設置や会員制交流サイト(SNS)などで積極的に情報発信を行ったほか、現地の受け入れ環境の整備を進めた。今では、日本文化に触れるユニークな取り組みとして、国内外で話題を呼んでいる。

 大阪・ミナミの繁華街にある黒門市場商店街は外国人観光客でにぎわっている。黒門市場商店街振興組合(大阪市中央区)は、和服姿で外国人観光客を案内するコンシェルジュを配属。訪日客の食の好みを調査し、気軽に食べ歩きできるよう串焼きを提供したり、店先で食べられるようテーブルを設置したりした。

 メニューには写真を載せて英語・中国語を併記するなど工夫。商店街を挙げた取り組みでゴールデンルートから商店街への呼び込みに成功した。
黒門市場商店街振興組合=大阪市中央区

日刊工業新聞社2018年5月28日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
05月28日
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17年には官民連携で小売業の多言語対応の向上を進めるプロジェクトチームも多言語対応協議会のもと発足した。おもてなしや地域に特色ある取り組みで商店街やまちがにぎわい、商店街の魅力が世界に伝わり、地域の活力の源となるプラットフォームになることが期待される。
(日刊工業新聞社・山下絵梨)

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