デザイン会社が作った取っ手のない透明急須がスゴイ!

手軽にストレスのない“茶”の体験を

 LUCY ALTER DESIGN(東京都渋谷区、青栁智士社長)の「透明急須」。日本茶をいれて飲む習慣がない人に「手軽にストレスのない“茶”の体験を提供したい」(谷本幹人取締役)と開発された日本茶用急須。デザイン性とともに、耐久性や耐熱性、洗いやすさなど機能や利便性も追求した。

 ガラスのような見た目だが、落としても割れない特殊な樹脂を使用。耐熱温度は100度Cで、熱湯での消毒も可能。本体が熱くならず直接持てるため、取っ手がない。二つ以上利用する場合は重ねて収納できる。専用EC(電子商取引)サイトや自社運営の日本茶専門店で販売する。

 同社は、デザイン会社でありながら、商品企画・開発から店舗運営まで展開する日本茶事業が、現在の主力事業となっている。

 2015年の会社設立前から、デザイン業界での地位を確立するために「上流から下流までデザインができる」(青栁社長)という自社の強みを作りたいと模索していた。

 そこでたどり着いた答えが、低コストに“適量生産・適量消費”する独自商品の開発。「伝統工芸品と工業品の融合で、実現できる」(同)と確信し、その素材として選んだのが、日本茶だった。透明急須のほか、より付加価値の高い飲み方として日本茶用ドリッパーも開発した。

 今後、日本茶事業の拡大に向けて強化するのが、ホテルや旅館など宿泊施設を主なターゲットにした企業向けビジネス。透明急須と茶葉をセットで販売する。

 さらに、成長のためには不可欠だと海外進出も視野に入れる。期間限定ショップだったが、豪州と台湾、イタリアに出店した。18年以降の北米での展開を検討する。

 「“既視感”を超えないとワクワクしない」と笑う青栁社長。他業態とのコラボレーションなど新たな挑戦を続けながら、日本茶事業の可能性を広げていく。
日本茶事業の拡大を狙う青栁社長(右)と、谷本取締役

【メモ】
中国で急須の原型は、発明された。茶を飲む習慣がある文化圏、特にアジアでは古くから使用されている。日本には、江戸後期に上方から江戸へと伝わった。「急須・急焼(きびしょ)」といった横手の湯沸かしを茶を出す道具に転用したのは宝暦6年(1756年)。儒学者で篆刻(てんこく)家、画家の高芙蓉が発案したとされる。

日刊工業新聞2018年6月8日

明 豊

明 豊
06月10日
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「伝統工芸品と工業品の融合」ー。これを目指す人は数多くいるけどとてもハードルはすごく高い。「文化資本経済」の担い手になってもらいたい。

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