アニメ・食の輸出型は見直し…“クールジャパン”で狙うは地方創生

2020年の東京五輪・パラリンピックへ、地方自治体と連携強化

 政府は日本文化を海外に発信するクールジャパン戦略を拡充する。従来はアニメーションや食などを海外に売り込む輸出型の施策が中心だったが、今後は増え続ける訪日外国人観光客(インバウンド)を通じた地方創生を重点施策として推し進める。地方への観光や伝統工芸品などの地域文化資源を活用し、外国人観光客に地方滞在を促すことで外貨を獲得する。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、政府は中小企業や地方自治体による一段の連携強化を後押しする意向だ。国土強靱(きょうじん)化による自然災害対策も進める。

 クールジャパン戦略は、日本の映画やアニメといったコンテンツやファッション、和食、地域産業などの文化を発信し、海外需要を開拓していく取り組みで、安倍晋三政権の成長戦略の柱の一つ。人口減少により内需の縮小が懸念される中、日本の魅力を発信し、外貨獲得と関連産業の雇用創出の役割を担う。

 経済産業省は、日本に関心が集まる東京五輪・パラリンピックの開催までを五輪の追い風で「クールジャパン分野が成長していく期間」と照準を合わせる。成長の追い風を失う五輪後を見据え、それまでにクールジャパン分野が自力拡大できる土壌を整える必要があると指摘する。25年の大阪万博誘致も控えており、同分野を一気に成長軌道に乗せることが必須となる。

 そのためには、観光客に地方滞在を促す地方創生を加速させる必要がある。地域に潜在する観光資源や価値を高めて訪日外国人を呼び込むことで、継続的な需要を創出し、稼ぐ力の好循環が実現できるためだ。

 経産省は、19年度予算概算要求にクールジャパン関連予算として7億2000万円を盛り込んだ。目玉は、最新システムを取り入れて次世代型の観光エリアを実証する「スマートリゾート推進事業」だ。

 訪日観光客が訪れる主要観光エリアの宿泊施設や商業施設などに、クレジットカードの決済やIC対応を促してキャッシュレス化を推進する。さらに観光客の荷物をホテルや空港へ配送したり保管したりするサービスを導入し、観光客のストレスフリーに向けた取り組みを先進事例にする。

 地方ではクレジットカードの利用環境の不備で訪日客が不便を強いられる場合がある。そのため経産省は19年度に先進事例を公募し、2―3件程度を採択。同事例を“スマートリゾート”として広く発信する計画だ。

 このほか、新たな観光地域づくりに向けた取り組みも全国で後押しする。観光分野の専門家や外部人材を招いて中小企業や地方自治体との連携を促し、地域資源を活用した製品開発や販路開拓などを支援。観光産業を担う人材育成も行う。

 政府は20年までの訪日外国人観光客消費で年8兆円達成を目指す。これらの施策により、海外から外国人の地方誘客につなげ、帰国後に日本文化の良さを自国に伝えれば「日本ファンが世界で増えていく」(経産省クールジャパン政策課)好循環を期待できる。

日刊工業新聞2018年10月4日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
10月05日
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 政府は防災・減災につながる国土強靱化も進めつつ、インバウンド需要の継続的な拡大を後押しする。
(日刊工業新聞社・山下絵梨)

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古川 英光
古川 英光
10月05日
「クールジャパン戦略」はここからインバウンド狙いの地方創生に振るのだとか。オリパラ後の持続性まで考えながらの取り組みになりますね。この際、「大好きニッポン」みたいな新しい宣伝文句も欲しいなぁ。
  

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