【今日上場】ソフトバンクが直面する数々の課題

売り出し額はNTT上回る過去最大に

 ソフトバンクグループの国内通信事業会社であるソフトバンクが19日に東京証券取引所に上場する。市場からの調達額は約2兆6000億円と国内最大の見込み。2018年4―9月期の国内通信事業の営業利益は前年同期比9・5%増の4469億円と安定成長が売りだが、政府による携帯電話料金引き下げ圧力に通信障害、中国製の基地局装置の使用など上場を前に起きた“試練”が、ソフトバンクの課題をあらためて浮き彫りにしている。

 「1ギガバイト(ギガは10億)当たりの単価は競合他社の半分か3分の1。欧米の携帯事業会社と比べても我々は世界で最も安い事業者の一つだ」―。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は9月に導入した新料金プランの安さに自信を見せる。

 また、孫氏は「国内スマホ市場はまだ成熟していない。スマホ以外の顧客が実はたくさんいる。特に法人はスマホ以外が半分以上だ」と述べ、より高付加価値で安いサービスの提供で法人の顧客をスマホに乗り換えさせ成長を狙う。

 ただ、菅義偉官房長官の「携帯料金4割引き下げ発言」でNTTドコモが通信料を最大4割下げる新プランを打ち出した。競合他社との競争は激化するだけに「(菅発言に)しっかり対応していく」(孫氏)と話す。

 通信料引き下げは収益悪化を招くが、孫氏は国内通信事業の人員の4割を2―3年で配置転換し、「携帯料金を引き下げても増益を続ける」意向を示した。人工知能(AI)やRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)の導入で業務を効率化する狙いだが、信頼性との両立が不可欠となる。
 
 また、中国製品を使う携帯基地局の問題も信頼回復に欠かせない。ソフトバンクは一部に中国通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)、中興通訊(ZTE)製品を使いコストを削減。携帯料金の安さの一因となっていた。安全保障上の懸念が指摘されていることから、現状の第4世代通信(4GLTE)の基地局設備から中国製品を排除する課題が課せられた。

 ソフトバンクは、10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の出資企業が日本に進出する際の連携先となる成長策もある。スマホ決済サービス「ペイペイ」がその一例だが、クレジットカード不正利用の疑いが浮上した。こうした課題を抱えながら上場時の売り出し価格1500円に対し初値がいくらをつけるのか。上場を受けて19日に会見する宮内謙社長らがどのような信頼回復策を語るのか注目が集まる。
(文=水嶋真人)

日刊工業新聞2018年12月19日

葭本 隆太

葭本 隆太
12月19日
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ソフトバンクが本日上場します。スマホ市場は成熟しつつあり、官製の値下げ圧力や楽天の新規参入もある中で今後成長が持続できるか注目されます。15時30分からの上場会見で宮内謙ソフトバンク社長は何を語るでしょうか。

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