原発「再稼働」へ、今年は分岐点になったか

 複数の電力会社にとって2018年は原子力発電事業が節目の年となった。国内で今年は5基が再稼働し稼働する原発は9基になり、廃炉計画は決定済み(検討中を含む)が6基増え23基と進んだ。

 関西電力は3月に大飯原子力発電所1、2号機(福井県おおい町)の廃炉を正式決定した。一方で4月に大飯原発3号機、6月に同4号機の営業運転を始めた。保有する11基の原発の道筋をつけた関電の岩根茂樹社長は「民間の中でも、我々が他社をけん引していくつもりだ」と原発重視の姿勢を強調する。

 四国電力は同社唯一の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の営業運転を11月に開始。同1号機は17年9月に廃炉作業が始まり、18年3月に同2号機の廃炉も決定。3号機は9月に広島高裁が停止を命じた仮処分決定が取り消され再稼働に至ったが、四電の小林功常務は「基幹電源で主張が認められ安堵(あんど)した」と振り返った。九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)も3号機が5月、4号機は7月に営業運転を始めた。

 3社の原発が再稼働する中、電力大手10社の19年3月期連結業績予想は7社が当期減益を見込む。火力発電所の燃料価格の上昇などで、収益を圧迫するのが要因だ。

 原発の再稼働は各社の収益改善だけでなく、電力の安定供給にも寄与する。9月の北海道地震で北海道電力は主力の火力発電所が緊急停止。全体の需給バランスが崩れ、全電源が停止する大規模停電(ブラックアウト)に追い込まれた。ある電力会社の幹部は「審査中の泊原発が再稼働していれば、停電はなかった」と指摘する。

 原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格した国内の原発は、東京電力の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県柏崎市、刈羽村)など6基、同審査申請中は12基ある。ただ原発再稼働に向け地元自治体は安全対策など同意に慎重な姿勢を崩さない。19年も安全対策で地元の理解を得るのは喫緊の課題である。
(文=大阪・香西貴之)

日刊工業新聞2018年12月14日

明 豊

明 豊
12月16日
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安全性の是非は感情論も含めあるだろうが、南海トラフが起きた時に太平洋側のエネルギー供給はどうするのか。より現実論のエネルギー政策もシリアスに考えないといけない。      

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