三菱重工社長、東芝・日立と原子炉事業の統合「シナジーはない」

核燃料事業統合には前向き

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宮永社長
 三菱重工業の宮永俊一社長は14日、日刊工業新聞のインタビューに応じ、東芝、日立製作所との3社で検討している原子力発電所向け核燃料事業の統合交渉について「経済合理性さえ見つかれば可能。一緒にやっても良い」と前向きに進める方針を明らかにした。ただ、原子炉事業の統合は「加圧水型軽水炉(PWR)と沸騰水型軽水炉(BWR)では技術が全く異なる。統合してもシナジーはない」と明確に否定した。

 各社の原発燃料会社は国内原発の再稼働が進まず、需要が低迷している。三菱重工、東芝、日立の3社は2017年春をめどに国内燃料事業の統合協議を進めていたが、東芝の経営危機に伴い事実上停止。このほど再開した。宮永社長は「合理性が考えられる余地は十分にある。必要で許されることならやっていけば良い」とした。

  一方、火力発電機器事業で競合する独シーメンスが大型ガスタービン製造事業の売却などを検討しているとの報道に対して「パワー(発電)事業は我々のコアビジネス。競争上の比較優位を高めることが重要であり、それに資する方法があるかないかの観点で考える」と話した。

 三菱重工とシーメンスは14年に仏アルストムのエネルギー部門の買収をめぐり、日独連合で米ゼネラル・エレクトリック(GE)と競り合ったことがある。ただ、当時とは化石燃料に対する認識が世界的に大きく変化しており「経営判断も時代とともに変わる」(宮永社長)とした。

日刊工業新聞2018年6月15日



35万kW級軽水炉の開発継続


 三菱重工業は5日、事業戦略説明会を開き、原子力発電事業を拡大する方針を打ち出した。発電機器事業などを担当するパワードメイン長の安藤健司副社長(三菱日立パワーシステムズ社長)は原発新設案件について「2030年、40年と進むに従い、世界各地で話しが出る」と予測。商用化を前提に35万キロワット級の中小型軽水炉(IMR)の開発を継続するほか、仏アレバとの協業深化、高速炉・核融合技術開発なども推進していく。

 安藤副社長は脱炭素社会を迎える中で「必ず原子力は伸びていく。将来ニーズに対して手を打たないのはまずい」と断言。国内軽水炉プラントの再稼働支援や保全工事、廃炉作業支援などを通して技術力向上、技能伝承を進める。

 その上で21―30年度頃を見据えて新設プラントへの取り組みも推進。トルコのシノップ原子力発電所計画については経済性を含めた事業化調査(FS)を継続しており「あと数カ月かかる。原点に立ち返ってリスク管理を行っている」(安藤副社長)と明かした。

日刊工業新聞2018年6月6日



 

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 パワードメインは20年度に売上高1兆9000億円(18年度見込み1兆6000億円)、事業利益率10%を目指す。火力発電機器事業を中心に成長を見込むが、世界では地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成に向けて再生可能エネルギーなど低炭素燃料への転換が進む。今後は「システム全体を提供するソリューションビジネス」(安藤副社長)にシフト。IoT(モノのインターネット)を活用した遠隔監視・予防保全事業を広げるほか、再エネや火力、蓄電池などさまざまな発電システムを組み合わせたエネルギーインフラを提案していく方向だ。 (日刊工業新聞・鈴木真央)

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