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エマルジョン成分質量、前処理なしでオンライン分析

エマルジョン成分質量、前処理なしでオンライン分析

エマルジョンのオンライン測定装置と内村教授

 福井大学工学部物質・生命化学科の内村智博教授は、水と油を界面活性剤で混ぜて作るエマルジョンの液成分の質量をオンライン分析する測定法を開発した。オンライン分析は、前処理なしで対象を装置にかけ、ありのままの状態を分析する。液中の添加成分が水、油のどちらに位置するか、量なども分かる。今回の成果は、化粧品や化学品の開発、生産に役立つ技術として応用が期待される。

 測定はガス成分の質量測定装置を改良して行う。液状のエマルジョンを真空吸引力を用いて細管を通し、測定用チャンバーに導入。細管先端から放出する際に、補助ガスを使い一定ペースで霧状に噴き出させ、そこにレーザーパルスを当てイオン化した成分を測る。

 エマルジョンの成分は前処理したサンプルで分析するのが従来手法。ありのままの状態では測定の有効な手法がなかった。

 光学的に濁度を測る手法は、エマルジョンの濁りが高くなると測定不能で、また代替としての通電測定も詳細分析は限界がある。内村教授の手法は濁度の程度に関わらず定量分析できる。

 化粧品や化学品に用いられるエマルジョンの成分は、水、油、それぞれに溶けやすい添加物、それらを混ぜる界面活性剤などで構成する。混ざった状態は時間経過につれて変わる性質がある。内村教授は今回の測定法を、エマルジョン性状を細かく分析するのに有効とみている。
日刊工業新聞2018年12月14日

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