地域の“強み”を生かすため、北海道がSI育成に力を注ぐ

道内企業のロボット導入を後押しし、競争力の高い食品製造業の輩出を狙う

 北海道でロボットによる食品製造業の生産性向上に向けた取り組みが本格的に始動する。北海道立総合研究機構(道総研)工場試験場は20日、食品用のロボットの実機を設置した実証ラボ「ROBOLABO(ロボラボ)」を開設した。ロボ導入の担い手となるロボシステムインテグレーター(SI)を育成する。北海道の強みである食とロボが結びつけば、競争力の高い食品製造業が生まれそうだ。

食品に特化


 「なるべく多くの道内企業に知って使っていただきたい」。道総研の田中義克理事長は20日に行われた開所式で、ロボラボの積極的な活用を呼びかけた。

 ロボラボは経済産業省の地域における中小企業の生産性向上を推進する事業を活用して実現した。総事業費は8500万円。食品分野での利用を想定したロボット4台と3Dプリンターを設置した「北海道初のロボットSIの育成拠点」(田中道総研理事長)となる。食品製造に特化したロボットの導入は、公設試験研究機関では全国初とみられる。

 ロボラボに導入したのは、高速でモノを水平移動するのに適したスカラ(水平)型ロボと、バラバラな形状のモノを把持する垂直多関節型ロボ、単腕と双腕の協働ロボ。単腕タイプは直接手でつかんで自由に動かせ、ロボに動作を教えられる。双腕タイプは段ボールから商品を出し入れする作業を行える。

導入の道案内人


 製造現場のロボ導入には、各現場に合わせてシステムを設計・提案するロボSIが不可欠だ。このため道総研は12月―2019年2月に、各ロボごとの研修を実施し、食品分野のロボSIを育成する。さらに、ロボSIと利用者をマッチングする相談窓口を設けるほか、技術的な課題の解決を支援する。

 すでにロボSI事業を手がける中小企業の経営者は「ロボを導入したからといって何でもできるわけではない。ユーザーにもよく理解してもらいながら取り組む必要がある」とユーザーニーズとのすり合わせの重要性を指摘する。導入の“道案内人”として、ロボSIの役割は大きい。

競争力高まる


 北海道は全国に先駆けて人口減少が進み、人手不足が深刻化している。人手に頼る食品製造業でロボは有効な解決手段と言える。今後ロボ導入の成功事例を一つでも増やすことが重要だ。道内の豊かな農産品をベースに、食品ロボが活躍する場が広がれば、競争力の高い食品製造業が生まれる可能性が高まる。
(文=札幌支局長・村山茂樹)

日刊工業新聞2018年11月30日

  

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