活躍の場が増えるロボット、使いやすさはどこまで向上できるか

川崎重工業取締役常務執行役員・橋本康彦氏に聞く

初導入でも扱いやすく


―安全柵を設けることなく、人と共に作業できる協働ロボットが注目されています。
「従来の産業用ロボットは自動車の溶接工程など限定的な使われ方をしてきたが、協働ロボットは人が手がけてきた作業も担えるようになり、あらゆる工程がロボット導入の対象となっていく。ただ、ロボットに精通した技術者を抱える自動車メーカーなどと異なり、初めてロボットを扱うユーザーも対象となり、いかに使いやすくするかが重要になる」

―ロボットを扱うにはプログラミングなどの専門知識が必要です。

「ロボットはパソコンの発展段階と似ている。かつてのパソコンはエンジニアなどの一部の専門家が使うもので、プログラミングができる人も専門に学んだ人だった。しかし米マイクロソフトの基本ソフト(OS)『ウィンドウズ』登場後、直感的に操作できるようになりユーザー層が拡大。パソコンで使うアプリケーション(応用ソフト)も開発しやすくなった。ロボットも直感的に扱えるようにするなど使いやすさを追求し、アプリも増やす必要がある」

―現状はロボットに周辺機器を組み合わせて自動化システムを構築して導入しています。

「ユーザーが操作方法の習得や周辺機器の購入などから解放され、ロボットを買ったらすぐに使えるようにしたい。だが段階を経る必要がある。当社は2017年にスイスのABBと協業し、両社の協働ロボットの操作系などを共通化する取り組みを始めた。メーカーの枠を超えて業界全体で、使いやすさの向上に取り組むことも必要だと考えている」

―食品工場の搬送工程用など作業ごとにロボットシステムをパッケージで提供するアプリの開発は、ロボットメーカーやシステム構築(SI)企業などごく一部に限られます。

「アプリを増やしてロボットを使いやすくするためにも、ロボットそのものが楽しくてたまらないような人をもっと増やさなければならない。アプリ開発を競うワールド・ロボット・サミット(WRS)では、熱戦を通じて応援する人やロボットに魅力を感じる人が増え、ロボットブームを引き起こす一つのきっかけになれば良い」
(文=西沢亮)
橋本氏

日刊工業新聞2018年9月28日

日刊工業新聞 記者

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09月28日
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専門家向けだったパソコンは、ユーザーに初心者が加わることで使いやすさが発展していった。人手不足などを背景に世界でロボット需要が高まるなか、ロボットを使ってみたいと考えるユーザーが増えており、橋本康彦取締役はロボットメーカーが「こうした期待にどこまで応えられるかが問われている時代だ」と強い危機感も示している。(西沢亮)

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