災害時使えるがコストが高い…“衛星通信”普及の突破口は学校!?

スカパーJSATが日常使いの活用促す

 災害が多い日本で、非常用の通信手段として衛星通信が注目されている。地上の通信回線が遮断されても、人工衛星を介して通信できるからだ。スカパーJSATは、衛星通信サービス「ExBird(エックスバード)」を、災害時の事業継続計画(BCP)として病院や自治体、教育機関などに提案している。一方、費用などの問題から導入に踏み切れない事業者も存在するため、普及に向けて課題も残る。

 「災害現場でも活用できるんです」。スカパーJSATの仁藤雅夫副社長は、中学生約70人を前に、こうアピールする。港区立高陵中学校(東京都港区)で、リコージャパン(同)と共同で展開している「ビジュアル情報衛星通信システム」を紹介した。スカパーJSATは企業の社会的責任(CSR)の一環として、中学校に訪問して自社の事業を説明し、衛星通信への理解向上を図っている。

 生徒が集まった部屋と、校長室のそれぞれにリコージャパンの電子黒板などを設置し、2カ所を衛星通信のエックスバードで接続。動画や画像、音声などのデータをリアルタイムに共有できることを示した。災害時の活用に関して、災害派遣医療チーム(DMAT)隊員の林洋克さんは「素早い情報共有ができる」と利点を強調する。

 しかし初期投資や運営費の問題から、導入に踏み切れない企業は多い。このため、両社は災害時だけではなく日常使いの提案に乗り出した。

 例えば一般企業には、場所を選ばず働ける「テレワーク」への利用のほか、本社と海外拠点などをつなぐウェブ会議としての活用も促す。リコージャパンのコーディネーターグループの百瀬潔さんは「普段はビジネス用途で活用して『実は災害時にも使える』という雰囲気を醸成したい」と強調する。港区立高陵中学でも「不登校など学校に通えない生徒には遠隔授業として活用できそうだ」と同システムに期待を寄せる。

 大規模災害が発生した直後は災害対策への投資意欲も高まるが、時間が経過すると徐々に薄くなっていくことが一般的だ。日常使いを提案することは、災害への危機意識の醸成にもつながりそうだ。
(文=大城蕗子)

日刊工業新聞2018年11月23日

葭本 隆太

葭本 隆太
11月25日
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衛星通信は記事中にあるように、災害時の利用が期待できますし、IoTの文脈でいえば、携帯基地局の電波が届かない山間部などの利用が見込めます。ただ、いかんせんコストが高い。ここを解決するサービス設計が期待されます。

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