5Gの本格普及に一役、窓のアンテナ設置を可能にする“GNSSレシーバー”

NTTと古野電気が開発

 NTTと古野電気は、ビル街や山間部といった厳しい受信環境でも衛星測位システム(GNSS)による時刻同期の誤差を従来比5分の1に低減したGNSSレシーバーを開発した。ビル壁面や窓など、これまで困難だった場所にも携帯電話基地局用アンテナを設置できるようになる。従来より多数のアンテナが必要な第5世代通信(5G)基地局向けの需要が見込めそうだ。

 NTTと古野電気は23日、GNSSレシーバー「GF―88」を古野電気が2019年4月に発売すると発表した。受信に適した衛星信号のみを選択するNTT独自のアルゴリズムを採用した。携帯基地局用アンテナの位置と時刻を正確に算出するには4機以上の衛星から直接波を受信する必要があるが、4機に満たない場合でもマルチパス信号の中から伝搬遅延の少ない衛星信号を最小限選択し、不正確な衛星信号を“枝刈り”する仕組み。

 都内のビルに囲まれた場所で実施した実証実験では時刻同期誤差が50マイクロ秒(マイクロは100万分の1)以内と、「当社独自のアルゴリズムを使用しない場合に比べて約5分の1に改善した」(吉田誠史NTTネットワーク基盤技術研究所主幹研究員)という。

 携帯基地局は近隣の基地局との信号干渉を防ぐため、GNSSによる時刻同期で信号の送信タイミングをマイクロ秒の精度で同期させる必要がある。しかし、衛星からの信号を直接波として受信可能な開空間領域が少ないビルの谷間などではビルに反射したマルチパス信号を受信してしまい、時刻同期精度が大幅に劣化する。携帯データ送受信の遅延を招くため、これまで基地局用アンテナの設置場所はビル屋上など開空間の多い場所に限られていた。

 19年にもサービスが始まる5Gは基地局のカバーエリアが狭く、高速・大容量の特徴を生かすには100―300メートル程度のセル単位でのアンテナ設置が求められる。本格普及期には膨大な数の基地局やアンテナが必要となるが、ビルなどの遮蔽(しゃへい)物が多い都心部では広い開空間が得られるアンテナ設置場所が限られている。

 古野電気は11月5日からルーマニア・ブカレストで開かれるネットワークの時刻と同期をテーマにした世界最大規模の会議「ITSF2018」で新製品のデモンストレーションを実施する。国内外の設備メーカーに採用を働きかけ、拡大する5G市場を取り込む。

 

(文=水嶋真人)

日刊工業新聞2018年10月24日

葭本 隆太

葭本 隆太
10月24日
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5Gは減衰しやすい高い周波数帯の電波を使う見込みのため、文章中にあるように基地局のカバーエリアが狭くなります。このため、商用利用が始まる19年頃は一部に限ってエリア化されると見込まれます。本格普及はいつになるでしょうか。

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