低軌道衛星で海でも山でもIoT

スカパーJSATが5年以内に事業化

 スカパーJSATは低軌道衛星を活用したIoT(モノのインターネット)事業に参入する。地上で収集した温湿度などのデータを、広域通信規格の「LPWA」により衛星で受信し、地上局に送信する。地上から低軌道衛星への通信をLPWAが担い、山間部や海上など通信インフラが整備されていない場所での通信が可能になる。災害時の情報収集や人命救助に役立てられる。今後メーカーなど協業者を募集し、4−5年内の事業化を目指す。

 スカパーJSATは東京大学と、高度数百キロメートルで利用される低軌道衛星と地上をLPWA通信でつなぐ共同研究を進めていた。2月には、地上で収集したデータをLPWA通信で小型衛星が受信した後、そのデータを地上局に送ることに成功した。従来LPWA通信は地上回線のみで行われており、伝送距離は見通しが良いエリアで数十キロメートル程度だった。

 同社の新事業は、地上に設置したセンサーで収集した温湿度や水位、位置情報といった多種多様なデータを専用端末が集め、LPWA通信を使って低軌道衛星へ送信。それを衛星が受信し、地上の受信アンテナに送る。収集データはサーバーやクラウド上に蓄積・分析する仕組みだ。

 低軌道衛星を活用することで、通信インフラが整備されていない山間部や海洋での通信が実現するほか、大規模災害で通信回線が切断された場合でも、地上の情報を取得できる。

 政府も今後増加するIoT通信には低軌道衛星の活用が大きな役割を果たすとしており、同社の取り組みは注目されそうだ。

 同社は衛星を活用したIoT事業を強化している。IoT機器向けのシステム開発を手がけるベンチャー企業、ソラコム(東京都世田谷区)と静止軌道衛星を介したデータ伝送の実証実験を進めている。

日刊工業新聞2018年4月27日

葭本 隆太

葭本 隆太
04月28日
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衛星を活用したIoTビジネスには興味がわきます。ただ、衛星の活用にはコストがかかるので、それに見合ったビジネスモデルが構築できるかが鍵になりそうです。

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