「食中酒」も考慮
寶CRAFTシリーズの「京都うめ」は、京都府城陽市にある府内最大の梅林において栽培した特産梅「城州白(じょうしゅうはく)」を使用。樽(たる)貯蔵熟成焼酎などと合わせ、甘い香りとかろやかな酸味が特徴だ。1瓶330ミリリットルで、消費税抜きの価格は268円。京都府や福井県など5府県限定で、年間8000ケース(1ケース12本入り)の販売を予定する。
地域限定チューハイは第1弾の「栃木ゆず」を皮切りに、北は北海道の「余市の林檎(りんご)」から南は沖縄県の「シークヮーサー」まで“ご当地果実”を使ったこだわりの商品を投入してきた。地域食材との相性も考慮に入れ、食中酒としても楽しめるようなラインアップだ。
宝HDがチューハイの商品群充実に力を入れる背景に、ソフトアルコール飲料市場の拡大がある。同社の推計で、17年の同市場規模は前年比10%増の1億3323万ケース(350ミリリットル×24本換算)。縮小傾向の清酒市場とは対照的だ。同社の18年4―9月期連結決算でも、清酒部門の売上高が前年同期比2・5%減に対し、ソフトアルコール飲料部門は同11・9%増だった。
裾野広げる
瓶詰めの寶CRAFTシリーズは、好調な缶チューハイ「焼酎ハイボール」などとは違った戦略を打ち出す。事業会社である宝酒造の各支社が主体となり、果実の選定からラベルデザインまで行う。地域限定を“売り”とするため、販売数量も少ない。しかし地域性を売りに出すことで、少量生産ながらも「毎月コンスタントに出荷はできており、地元に根付いてきた」(宝酒造の神畑洋介京滋北陸支社長)という。
同社はベースアルコールの“焼酎”を武器に、ソフトアルコール市場で競合するビールメーカーとの差別化を図る。今後の寶CRAFTシリーズの新製品についても「メジャーな果実ではなく、ニッチなものを狙いたい」(同)とし、ソフトアルコール飲料の裾野を広げる構えだ。
(文=京都・日下宗大)
さらば、ゴーンの日産特集