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テーマパーク売上増の原動力は“強気の入場料”だった!物販は意外と伸びず

施設としての魅力がダイレクトに反映される時代に
テーマパーク売上増の原動力は“強気の入場料”だった!物販は意外と伸びず

東京ディズニーランド(写真はイメージ)

 ある著名なテーマパークでは、収容人数の更なる拡大のための大規模な投資を公表している。別の遊園地では、入場料金を無料として、来場者数の大幅増を見込むという戦略を公表している。こうしたニュースに触れると、遊園地・テーマパークに遊びに行きたいなと思われるのではないだろうか。

「人数」より「売上」の伸びが大きい


 第3次産業活動指数では、入場者推移を元データとして、遊園地・テーマパークの活動状況を指数化している。遊園地・テーマパークの指数の推移をみると、2010年=100として、2015年まで上昇基調だったが、同年からの3年間は、指数水準120に若干届かない状態で推移している。

 今回は、特定サービス産業動態統計調査のデータを用いて、 遊園地・テーマパーク(以下、「テーマパーク等」)の売上高に注目し、入場者数との動きの違いや、売上の内訳(入場料と物販等)の変化について、確認してみる。

 2017年のテーマパーク等の売上高は、6833億円、前年比3.8%上昇と順調な動きを見せている。この売上高と入場者数を比較しやすいように2010年基準の指数に変換したグラフをみると、基準年である2010年以降、人数の伸びよりも、売上の伸びの方が明らかに大きくなっていることが分かる。
                

単価は8000円台に


 テーマパークの売上高が入場者数の増加以上に伸びているということは、一人当たりの売上高、つまり客単価が上昇しているということになる。確かに、2000年に5000円台半ばであった客単価は、2017年には8000円台の半ばに上昇している。

 そこで、売上高の変化を入場者数要因と一人当たりの売上(単価)要因に分けて推移を見てみる。すると、2003年と2004年を除き単価要因は、基本的に上昇寄与となっている。

 リーマンショック時(08年、09年)と東日本大震災時に人数要因は低下寄与となったが、その時期でも単価要因は上昇寄与を維持していた。

 また、一部施設での入場料値上げによって、2016年では人数要因は低下寄与となったが、単価要因の上昇寄与によって、その低下は相殺されている。2012年以降の、売上高の前年比プラスの要因は、単価の影響が勝っていると言えるだろう。
               

売上高の内訳の変化


 では、売上高の内訳を、入場料金・施設利用料(以下、「入場料等」)と食堂・売店売上高(以下、「物販等」)に分けて推移を確認してみよう。こちらも、比較しやすいように2010年基準の指数に変換したグラフにしてみる。

 入場料等と物販等の両指数は、2013年、2014年まで同じような推移だったが、その後、物販等指数の伸びが相対的に停滞し、入場料等指数が大きく伸びるという形で、動きに違いが出てきている。入場者一人当たりの売上げ8400円のうち、4600円が入場料等収入で、3800円が物販等の収入になる。

 テーマパーク等の売上高の増加おいては、「入場料・施設利用料」収入への依存が高まっていることになる。テーマパーク等の売上高の増加は、入場者数の上昇というよりも、一人あたり売上高の上昇によるものだった。また、売上高を入場料等と物販等に分別してみると、入場料や施設利用料の上昇によるものだった。
                 


 
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
入場料等は、テーマパーク等の施設としての魅力(そこに行ってみたいという魅力)をダイレクトに反映しているという解釈が可能であるとすれば、このようなテーマパーク等の売上高の推移は、グッズやフードの魅力もさることながら、入場料や施設利用料の上昇によっても損なわれない「施設としての魅力」が大事ということを示唆しているのかもしれない。

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