中小企業の65%が人手不足を実感している

商工中金が調査

 中小企業の人手不足が深刻化している。商工中金がまとめた「中小企業の人手不足に対する意識調査」によると、雇用が過剰だとする企業の割合は全体の約4%にとどまり、雇用が不足しているとする企業が全体の6割超を占めた。2011年1月と17年1月に実施した同様の調査と比較して、雇用の不足感が急激に強まっている状況が浮き彫りになった。

少子高齢化影響


 雇用の不足感を「大幅に不足」か「やや不足」と回答した企業の調査結果を時系列で比べると、11年1月の割合が14・6%、17年1月が58・7%だったのに対し、今回は65・1%へと上昇した。調査部の高宮康平研究員は「景気回復局面の長期化に伴い労働需要は増加基調を続けている一方、少子高齢化の進展等が背景にあり労働供給はそれを十分に補うほど増加していないため」と分析。

技術継承に支障


 全体の過半数の企業が人手不足による経営上の悪影響を受けており、これにより雇用の不足感が強いほど悪影響も深刻だった。

 人手不足が企業経営に与える悪影響の内容については、「採用難になっている」の74・2%が最多。次いで「売り上げ減少・機会の損失」が52・6%を占めた。業種別では、製造業に「技術・ノウハウの継承に支障」と答えた企業が多く人手不足が次世代への従業員への継承に影響が出ている。非製造業では業務縮小や業務拡大の抑制に直結している。

価格転嫁できず


 また、人手不足によるコストの増加を理由に価格転嫁の必要性を感じているかを尋ねたところ「感じている」と答えた企業が54・2%と過半数を占めた。うち4割弱の企業が単価の引き上げを含む仕入れ・外注先からの商品・サービスに関する何らかの要請を受けていた。それでも過半数の企業が価格転嫁を実施する予定がないと回答。特に非製造業より製造業の比率が高かった。価格転嫁の必要を感じる企業が相当数存在する一方で、下請けと元請けの力関係により価格転嫁が容易ではないという実情が明らかになった。

 中小企業において今後の人手不足の動向について、高宮研究員は「景気変動により過不足感の短期的な上下はあるだろう。ただし日本は人口減少局面にあるため、女性・高齢者の一層の労働参加や外国人人材のさらなる受け入れが進展しない限り、慢性的人手不足は続くと考えている」と分析している。

 調査は18年7月に同社の取引先1万105社に実施。4746社から有効回答を得た。

日刊工業新聞2018年11月8日

国広 伽奈子

国広 伽奈子
11月11日
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人手不足による採用難はまさに負の循環。取り返しがつかなくなる前に、必要な手を打てるか心配です。

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