2050年に自動運転車の世界販売は6800万台、「浸透するまで時間」

英LMCオートモーティブ調べ。上位シナリオなら9000万台超

  • 0
  • 3
車載のライダー(写真のレーザービームはCG)で周囲をセンシングしている様子(ウェイモ提供)
 英調査会社LMCオートモーティブは、世界の自動運転車の販売台数が2050年に6800万台に達するとする予想を公表した。安全性向上や渋滞緩和、関連の新ビジネスなどが期待され確実に普及が進むとみる。一方、技術や投資回収などの側面で課題も多く、25年の販売台数は100万台に留まる見通し。同社のピート・ケリー氏は自動運転車の実現には「“短距離走”ではなく、“マラソン”として取り組む必要がある」と指摘する。

 LMCオートモーティブは先週末、都内で提携先のマークラインズと自動車関連カンファレンスを開き、自動運転車の普及予想を示した。50年に6800万台とする中位シナリオのほかに、9000万台超とする上位、4000万台弱とする下位の二つのシナリオを披露した。

 米グーグル系のウェイモ。自動運転技術開発のリーダー企業の1社だが、その実験車両でさえ、横断歩道近くにおしゃべりしている女性が立っているだけで安全性判断に時間がかかり、シンプルな右折に15秒かかる―。

 ケリー氏はこうした事例を紹介し「自動運転車は『すぐそこまで来ている』という状況ではない」と指摘した。技術面のほかに現在の移動手段と同等の使い勝手を実現できるかや、プライバシーや法的問題が課題となる。また開発コスト・投資資金の回収が長期化することが敬遠されるリスクもあるとしている。

 ただ「自動運転車の到来は必然」とも明言する。既存の交通システムとの共存により混雑緩和につながる点や、若者・高齢者・障害者を含め、分け隔てなくサービス提供できる点をその理由とする。また保有車両の有効活用、駐車スペースの削減といった効果も期待できるためだという。

 ケリー氏は「(自動運転車という)新たな競争が始まり、そこでの勝敗が企業の存亡を左右する」と警告する一方で「浸透するまでには、まだ時間がかかる。自動車業界のプレーヤーは、適切にマネージしていける」と説く。スピード感を持ちつつも、焦らず開発に向き合っていくことの重要性を示唆する。
             

(文=後藤信之)

日刊工業新聞2018年11月2日

関連する記事はこちら

特集