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世界の化学大手、海洋プラスチック問題解決へ基金構想

米ダウ・デュポンや米エクソンモービル、独BASFなど1500億円規模
 米ダウ・デュポンや米エクソンモービル、独BASFなど世界の化学大手が海洋プラスチック汚染問題の解決を支援する基金を立ち上げる構想が17日までに明らかになった。12月の設立を目指し、総額1500億円規模とする考え。海上に流出するプラスチック廃棄物の最大発生源とされるアジア地域を主な対象に、回収・再利用に関する教育や法整備、研究に資金を供給する。ただ具体的な運営体制や使途は今後、固めるとみられ、構想実現には詰めるべき課題も残る。

 新基金は世界の有力企業が加盟するWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議、スイス・ジュネーブ)が窓口となり、化学メーカーなどから出資を募る。海洋プラスチック汚染対策の基金としては過去最大級とみられる。

 参画する企業は売り上げ規模に応じた資金拠出のほか、プラスチック廃棄物の削減目標・行動計画の策定が求められる見込み。

 基金による支援の枠組みは二つに分ける方針だ。一つは、アジアなどで各国の事情に応じた使用済みプラスチック製品の回収・再利用に関わる教育や訓練、法整備だ。もう一つは回収などに関する研究や調査になる。

 支援の実務はICCA(国際化学工業協会協議会)とACC(米国化学工業協会)が中心になる模様。今後5年程度の期間に地元政府や地域社会と連携しながら、プラスチックゴミ削減への解決策を順次実行していく。

 国内化学メーカーは現時点で様子見が多い。最近の海洋プラスチック問題は日本化学工業協会が主体で取り組んでいるが、基金参画は個別企業の経営判断に委ねられる。

 欧州委員会が1月に発表したプラスチック戦略によると、プラスチックの海洋流出量は年間500万―1300万トンで、世界のプラスチック生産量の1・5―4%に相当するという。
日刊工業新聞 2018年10月18日

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