東南アジアでのカーナビ利用を便利に、パイオニアが提供するデジタル地図

運送業者向けの運行管理システムを手がかる企業に狙いを定める

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タイの現地法人が作製したバンコクの地図の一例。建物の形状も表示
**東南アの物流関連向け
 インクリメント・ピー(東京都文京区、神宮司巧社長)は、東南アジアのデジタル地図を提供する事業に本格的に乗り出した。タイ、マレーシア、ベトナムなど10カ国の地図を、クラウド経由で提供する法人向けのサービスを今秋から始める。日本の地図と同等の品質の高精細地図を提供できる強みを訴求し、物流関連企業を中心に売り込みをかける。

日本と同等品質


 インクリメント・ピーはパイオニアの子会社で、カーナビゲーションシステム向けのほか、法人向けや一般消費者向けに地図を作製・販売する事業を展開する。海外関連では、2015年1月にタイの地図会社であるマップポイントアジア(タイランド)と合弁で現地法人「インクリメント・ピー・アジア」を設立(現在は完全子会社)。東南アジアの地図作製に着手し、17年から法人向けに地図データの販売を開始した。

 このほど、新たにASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟する10カ国のデジタル地図を、クラウド経由で配信する事業体制を整えた。インクリメント・ピーの地図は、現地の地図会社から提供を受けた地図情報をベースに、法人利用に適した各種情報を盛りこみ、日本の地図と同等の品質に仕上げたのが特徴だ。

豊富な情報提供


 例えば、都市部では建物ごとに住所と緯度・経度を整備し、建物の形状まで表示できるようにしたほか、日本の地図作製時にも採用しているカメラや全地球測位システム(GPS)を搭載した専用車による走行調査で、道路の種類や信号機の位置、道路標識といった現地の道路情報を取得し、地図に反映させている。

 東南アジアの地図は、主に海外の大手地図会社がカーナビ向けに手がけているが、インクリメント・ピーによると、各建物の形状や道路の詳細情報までは地図に盛り込まれていないという。馬場純国内事業部第四グループ新規営業担当マネージャーは「日本で長年培った地図作製ノウハウを活用した、見やすく使い勝手の良い地図を提供できるのが当社の強み」と力を込める。

運行管理に的


 同社がまず照準を定めるのが、物流業者向けに地図を活用した運行管理システムを手がける企業だ。日本ではネット通販利用者の拡大で宅配需要が増える一方、ドライバーの人手不足が課題になっている。このため複数の配達拠点を効率的に回る巡回ルートの探索など、物流業務の効率化に役立つ運行管理システムを導入する機運が高まっている。東南アジアでも経済発展に伴い物流量が年々拡大しており、今後日本同様に運行管理システムを導入する物流業者が増えるとみられる。

 インクリメント・ピーはそうした企業への営業活動と並行して、地図の使い勝手を高める取り組みをさらに強化し、他社と差別化を図る。東南アジアの地図ビジネスを収益の柱の一つに育てる。
(文=下氏香菜子)
タイの現地法人では東南アジア10カ国の地図を日本の地図と同等の質で仕上げる

日刊工業新聞2018年10月12日

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