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自動運転時代のカーナビはどのように進化すべきか

デンソーテンSS技術本部UIデザイン担当主査・小沼剛氏インタビュー
自動運転時代のカーナビはどのように進化すべきか

小沼剛氏

 デンソーテン(神戸市兵庫区、岩田悟志社長、078・671・5081)はカーナビゲーションなど車用電子機器を手がける。トヨタ自動車の初代「クラウン」向けオートラジオ納入から事業展開し、地域の情報配信などサービスに多様性を持たせる。車の電動化を見据えたデザインの役割についてSS(ソフトウエアサービス)技術本部でUI(ユーザーインターフェース)デザイン担当の小沼剛主査に聞いた。

 ―開発段階でのデザインの関わりは。
 「ユーザーと、社内の設計や製造部署とをつなぐ役割を持つ。ユーザーの意見をデザインとして具現化し、快適な車内空間の創造を目指す。当社のカーナビに代表される『イクリプス』シリーズは各市場向けに製品化し、ユーザーの評価を取り入れながら改良していく」

 ―どのようにデザインを発展させてきましたか。
 「カーナビの場合、ディスプレーが大型化し、高精細な表示が可能になった。一方、表示内容が多いと情報過多になり、ボタン操作に迷うといった問題も生じる。国内外のユーザーからヒアリングし、画面と周囲のボタンでの機能のすみ分けを考え、社内の関連部署に提案する」

 ―自動運転に向けたデザインの役割とは。
 「自動運転車ではユーザーの車内での過ごし方について、想像力をたくましくする。ユーザーと自動車の関わり方が変わってくる。カーナビの画面サイズや位置、表示させる機能に及ぶまで、視野を広く持つ必要がある」

 ―今後、デザイン力をどのように高めますか。
 「カーナビやスピーカーなどの個別製品から、車内全体の内装としていかに快適性を生むかを考える。周囲環境との関わり方にも領域を広げていく。国や地域、年齢層などに応じた、将来のユーザー像を念頭に置いている。製品を使いこなせる人と、そうでない人のリテラシーに関する溝を埋めるデザインのあり方を検討していきたい」
(聞き手・中野恵美子)
日刊工業新聞2018年8月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
カーナビを巡っては業界再編や事業提携が目立っています。

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