香港ファンド支援で再スタート、パイオニア社長が語る再建への道

パイオニア・森谷浩一社長インタビュー

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パイオニアの旗艦モデル「カロッツェリア サイバーナビ」
 パイオニアがカーナビゲーションシステムなど車載機器のOEM(相手先ブランド)事業の再生へ一歩前進した。香港投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアから支援を受けることで合意し、10月末までに正式契約を結ぶ。ベアリングの支援で再成長を目指す森谷浩一社長に今後の戦略を聞いた。

 ―ベアリングをスポンサーに選んだ理由は。
 「2017年の秋頃から複数の企業と話し合いをする中で(ベアリングは)当社の特定事業ではなく、OEM事業、市販事業、地図やセンサーといった自動運転関連事業をトータルで持つ強みに着目し、評価していただいた。OEM事業の再建に短期間ではなく一定の時間を必要とする考えも一致。再成長に向けた基本的な思想、時間軸を共有できたことが決め手になった」

 ―OEM事業をどう改革していきますか。
 「ベアリングと協議し当社のOEM事業の価値を高めるための最適な手段を選ぶ。時間軸は、OEM製品の減価償却負担が減ることや受注済みのビジネスを踏まえ今後2―3年でまず収益を改善した後、再成長に向けた計画を着実に実行する。5―6年で成長軌道に乗せたい」

 ―ベアリングへの期待は。
 「ベアリングはITや自動車、部品メーカーなどと世界各国に豊富なコネクションを持つ。東南アジアなど新興国とのパイプも太い。自動運転事業をはじめ成長分野をより早く強固にするには、そうした企業とのつながりを持ち、シナジーを創出することが欠かせない。資金面だけでなくベアリングのネットワークを活用させてもらい開発力強化や販路拡大につなげたい」

 ―OEM事業が悪化した理由をどう分析していますか。
 「スマートフォンとの連携など自動車のコネクテッド(つながる車)化がここ3―4年で想定以上に早く進み、対応が遅れてしまった。同じ失敗をしないよう、自動車産業の技術動向を慎重に見極めていく」

 ―パイオニアの将来像は。
 「車載機器の開発、製造と並行し、車関連のソリューションサービスを提供する会社への成長を目指す。長年にわたり車のプローブデータを蓄積、保有している強みを活用していく。保険会社や運送会社などで採用実績は着実に増えており、今後も拡大する見通し。5年後には収益の柱の一つにする」

【記者の目/過去の失敗を糧に再成長】
 ベアリングの支援で喫緊の課題だった財務基盤の悪化は回避できそうだ。今後の焦点はOEM事業の抜本的な改革になる。ベアリングは長いスパンで主力事業を切り出すことなくパイオニアを支援するようだが、車産業の技術革新のスピードは加速している。過去の失敗を糧に再成長できるか。6月に就任した森谷社長の胆力が問われる。(取材・文=下氏香菜子)

パイオニア社長・森谷浩一氏

日刊工業新聞 2018年10月3日

COMMENT

梶原洵子
編集局第二産業部
記者

パイオニアは、自動運転用高精度地図や車両データ利活用、3Dライダーといった先進技術ではリードしていますが、まだビジネスとして完成車メーカーにOEM販売するカーナビの落ち込みをカバーできていません。事業を切り出さないという今回の再生への判断は、将来、複数の製品や技術を組み合わせてより大きな成長機会を狙いたいということだろうと推察されます。

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