日産系サプライヤー、「九州」大攻勢のワケ

輸出SUV好調、自動化投資で人手不足対策

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北米で販売好調な「ローグ」(日産公式サイトより)
 日産自動車系列のサプライヤー各社が九州地域での投資を積極化している。ファルテックが福岡県に九州工場の新棟を設けるほか、ヨロズは大分県の主力工場を増強した。河西工業は日産九州工場(福岡県苅田町)の近隣に新工場を建て2019年度内に稼働する。日産のスポーツ多目的車(SUV)などの輸出車が好調で、需要増に対応する。加えて将来の自動化ラインや省人化のノウハウの蓄積なども狙う。

 「これまでやってきた無人化・省人化の取り組みが、いま顕在化している問題を解決するだろう」。9月に金融機関や報道各社向けに開いた工場見学会で、ヨロズの志藤昭彦会長はこう力説した。

 日産の輸出拠点である九州工場は主力のSUVなどの好調で活況だ。だが、サプライヤー各社は人手不足や米国などの通商問題に伴う生産移管などの懸念材料があり、慎重な投資判断を迫られていた。そんな中、ヨロズが自動化の一環で設備投資を実施した。志藤健社長は「人手不足を解消しつつ、自動化のノウハウを蓄積できる」と期待を寄せる。

 さらにヨロズは外注していた大型のプレス部品を、国内最大級となるプレス機を導入することで内製化した。その際、ブランキング(抜き打ち加工)工程で部品を設置する部分を自動化し、省人化工程を増やした。「カメラとロボットを用いてブランキングの段階から自動化するのは業界でも珍しい」(佐藤和己副会長)と胸を張る。

 一方、河西工業の生産子会社、九州河西(大分県宇佐市)が建設する新工場は自動化やIoT(モノのインターネット)化を進めた最新鋭の拠点にする。そのため無人搬送車(AGV)の導入や自動化を見据えた設備レイアウトを作成している。自動車の大型内装部品を扱う同社にとって、大型設備の配置は生産効率に大きく影響する。例えば大型射出成形機は一度設置すると、おいそれとレイアウトを変更できない。

 そのため、鈴木秀一九州河西社長は「新工場を増強する際、工程ごとの搬送に、なるべく人が入らないレイアウトを当初から計画する」とする。導入するAGVは、掃除ロボットに近い形で搬送対象物の下に潜り込むタイプを使い、搬送経路の面積を最小限にする。河西工業は培った自動化の知見を他拠点にも広げる考えだ。

 ファルテックも18年内に新棟を稼働する計画。国内拠点になかった塗装やメッキの設備を導入する。内製化比率を高めつつ、塗装ライン全体をクリーン化し完全自動化する。

日刊工業新聞2018年10月4日

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国内の自動車販売台数が頭打ちになりつつあるほか、作業担当者の不足や通商問題など地域拠点の投資を鈍らせる要因が増えている。だが、サプライヤー各社にとって生産の自動化は待ったなしの状況になっている。

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