空調設備工事業者が再生医療分野の開拓を狙うワケ

ダイダン、細胞培養加工施設(CPF)を備える拠点開設

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セラボ殿町(川崎市)に設けた細胞培養加工施設(CPF)
 ダイダンが、再生医療分野の開拓に動きだした。細胞培養加工施設(CPF)を備える拠点「セラボ殿町」を川崎市内に設け、オープンイノベーションとともにニーズの取り込みを狙う。空調設備工事業界では工場や商業施設などの建設に加えて、高度な医療施設も手がけてきている。ダイダンは得意とする気流の制御技術も生かしながら、中長期の成長をにらんだ布石を打った。

 「細胞の培養や加工に向けた課題を洗い出す」―。ダイダンの再生医療事業を束ねる吉田一也主席執行役員は、セラボ殿町を設けた理由をこう説明する。

 川崎市では再生医療や細胞治療の産業化を目指す研究拠点「ライフイノベーションセンター」が開設され、企業の集積が進みつつある。ダイダンも培ってきた技術やノウハウを同分野に展開しようとしている1社で、同センターを活用してセラボ殿町を設けた。

 室内にはCPFとしてのエリアが整備されており、医療関連の企業などが実証に利用できる環境が整う。気流の制御技術を用いたブース「エアバリアブース」も設置。開口部からブース外に一方向の気流を形成して異物の侵入を防げる。これにより内部の清浄度を高められる。しかも「ブースの扉やカーテンがない」(吉田主席執行役員)のも特徴だ。研究に必要な機器の出し入れや研究者の移動をしやすくして利便性を高めた。簡単に移設でき、空調設備を変更する手間がかからない。こうした利点を、セラボ殿町を訪問した企業に訴求する。

 このほかにも関連するセミナーやワークショップを開けるスペースを設けている。再生医療が先進的なだけに、情報交換を積極的に進めながらニーズを取り込む。

 再生医療の実用化に向けては法制度も整いつつある。再生医療等安全性確保法が施行されたのに伴い、CPFの設備基準の整備が進んだ。基準に沿った清浄度を確保するには、空調技術にたけている設備工事会社が必要。ダイダンにとっては商機が大きい。

 またカネカと連携し、CPF向けの設備「スマートCPユニット」も提供する。ダイダンの気流制御技術とカネカの閉鎖型自動細胞培養装置を組み合わせた。従来よりも省スペース化し、臨床研究にも採用された。

日刊工業新聞2018年9月28日

COMMENT

 空調設備工事業界では大気社や三機工業も同分野の開拓を目指しており、先端施設を整備する案件が増えることが見込まれている。ダイダンはセラボ殿町の活用を通じて、医療関連の企業やベンチャー企業、研究機関などとの接点を増やす考え。「品質の良い細胞をつくれる」(吉田主席執行役員)環境を構築できることを訴求し、社会の期待が徐々に高まっている再生医療の実用化を支援する。 (日刊工業新聞社・孝志勇輔)

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