エンジ会社がプラント操業支援も、発注先企業との新しい関係

連載・スマートエンジ始動(下)

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日揮ホームページより
 「うちの会社は遅れている」―。

 日揮の花田琢也執行役員CDOデータインテリジェンス本部長は、自社のIT活用への危機感を示す。効率的な業務に向けてシステム化を進めてきたものの、業務そのものの改善には物足りなさを感じているためだ。

 エンジニアリング各社が先端技術を取り入れる方針を打ち出す中で、日揮は2030年の自社のあるべき姿を踏まえながらIT戦略の策定を進めている。

 花田執行役員自ら戦略をとりまとめるために陣頭指揮を執り、社内に分散していたIT関連の部門も統合した。

 10月からはRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を設計や人事・財務部門に段階的に導入する。業務内容を重要度に応じて仕分けした上で、省人化しても問題ない業務や複数の部門に必要な業務に適用し、働き方を効率化する。

 プラントのEPC(設計・調達・建設)に基づく収益確保のあり方を変えて、自社のビジネスモデルを洗練させるために行き着く先が人工知能(AI)の活用だ。

 日揮はマレーシアでAIやIoT(モノのインターネット)を活用し、液化天然ガス(LNG)プラントの操業支援に乗り出す。現地の国営石油公社であるペトロナスの子会社と連携し、空冷式LNGプラントの生産性低下を招く高温排気の再循環を予測するシステムを構築する。ペトロナスが持つ豊富な操業ノウハウと運転データなども活用して実証を進めている。

 千代田化工建設もインドネシアでLNGプラントの生産性を高めるAIを開発する。「AIのアルゴリズムを持つ」(井川玄ChAS・デジタルテクノロジー事業本部長代行兼AIソリューション部長)というグリッド(東京都港区)との協業関係を生かす。

 AIなどの先端技術を駆使することで、受発注の関係だったエンジ会社とエネルギー企業とのつながりが変わる可能性がある。一方、プロジェクト管理は培ってきたノウハウや経験がものをいう。的確な遂行力がエンジ会社に求められるのは変わらない。

 人知と先端技術の導入とを両立することで、“スマート(賢い)プラント”に向けたニーズを取り込むことができる。今後のエンジ業界の勝敗を分けそうだ。
(文=孝志勇輔)

 

日刊工業新聞 2018年9月20日

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梶原洵子
編集局第二産業部
記者

AIやIoT、ビッグデータでエンジ会社にも新たなビジネスチャンスが生まれています。

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