火星で仕事したり宇宙浮遊を楽しんだりできる? ANAの宇宙ビジネス構想

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JAXA相模原キャンパスで「アバターXプログラム」を発表したANAHDの片野坂社長(中央左)
 ANAホールディングス(HD)が宇宙ビジネスを目指して“小さな一歩”を踏み出した。分身ロボットのアバターを活用することで地上に居ながら宇宙で作業したり、宇宙を楽しんだりできるようにする。6日に「アバターXプログラム」を発表。宇宙航空研究開発機構(JAXA)をパートナーに、企業や団体と連携し、さまざまなビジネスモデルを創出していく方針だ。

感覚も転送


 「いつか全日空は、宇宙輸送をやったら良い」―。39年前、片野坂真哉社長は入社したばかりの会社で将来の夢を語ったという。社長就任以来、ANAHDは宇宙関連ビジネスの参画を真剣に模索してきた。2022年度を目標とする中期経営計画ではANAグループ版「ソサエティー5・0」の推進を掲げ、新事業の一つに“宇宙旅行”を明記した。

 ANAHDが宇宙関連ビジネスの核とするアバターとは、ロボティクスや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、各種センサー・通信、ハプティクス(触覚)など技術の融合で実現する疑似的な“瞬間移動”の手段だ。

 現場に赴かなければできなかったことがアバターを介して実際にできるようになる。VRとの大きな違いは、自分自身の判断で、外部の環境を変えられる点だ。現場には自らの操作した結果が反映され、同時に感覚までもが転送されてくる。

大分で実証


 現時点で想定する宇宙関連ビジネスは、宇宙空間における建設、ステーションやホテルなどの保守・運用、エンターテインメントの3点だ。アバターを介して作業を行ったり、宇宙遊泳を楽しんだりするコンテンツ。まずは大手ゼネコンや大手通信会社などとコンソーシアムを設立し、参加企業を募って、事業性の検討を本格化する。

 19年春には企画会社を設立し、同社の元で各サービスの事業会社を立ち上げる。並行して大分県の採石場跡地で各種実証実験にも着手。同県では内閣府の近未来技術社会実装事業に採択され、アバターを通じた世界最先端地方創生モデルの創出を狙いに、複数プロジェクトが進む。アバターXも技術検証の深化に伴い、宇宙環境を模した実験場「アバターXラボ@大分」を順次整備していく。

偉大な飛躍


 現段階で宇宙への本格進出は20年代前半になりそうだ。宇宙ステーションでの実証を経てステーションのほか月面、火星にもアバターを配備。宇宙空間で稼働するアバターに接続すれば、地球上どこにいても宇宙に“瞬間移動”できる。時間や距離を超えられるアバターという手段が、人間の可能性を広げる。

 ビジネスとしては未知数ながら、ANAHDは夢を共有する企業や団体とともに実現への道を歩み出した。片野坂社長はアバターXで「多くの皆さんとジャイアントリープ(偉大な飛躍)したい」と意気込みを示す。人類初の月面着陸に成功して来年は、ちょうど50年。アバターによって誰もが宇宙にアクセスできる時代が、そこまでやってきている。
(文=小林広幸)

日刊工業新聞2018年9月19日

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