日本の「深宇宙」探査計画、太陽系の成り立ち解明へ

  • 0
  • 9
デスティニープラスの探査機のイメージ(JAXAのHPより)
 日本は国際共同で、地球圏より遠い「深宇宙」を調べる計画を加速させている。文部科学省は2019年度予算概算要求で、天体を構成する試料を地球に持ち帰る「サンプルリターン計画」や氷でできた衛星を探査する計画などに約40億円を計上した。日本の技術力を世界にアピールし、他の国際宇宙探査でも日本が優位な立場で進めることが期待される。

 これらの探査計画に共通するのは太陽系の成り立ち、さらに宇宙の成り立ちの解明という大きな科学的目標がある。工学的には宇宙探査を通じ、さらに遠い宇宙に行くための技術収得や検証を行う。

 今、世界中では有人での火星探査に注目が集まっている。その火星の詳細を調べることは今後の有人宇宙探査に重要な知見となる可能性がある。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19年度から、24年打ち上げ予定の火星衛星探査計画「MMX」の探査機の詳細設計を始める。

 火星衛星は火星から分裂してできたとする仮説があり、火星衛星の試料を採取し調べることは火星自体の起源の解明にもつながる。探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の試料の採取を準備しており、このミッション成功で火星衛星の試料採取計画にも弾みがつくと期待される。

 さらにリュウグウに続く小惑星探査計画として、地球近傍の小惑星「フェートン」での観測計画「DESTINY+(デスティニープラス)」で21年度に探査機の打ち上げを目指している。

 フェートンは地球の生命の起源となる炭素や有機物の供給源である可能性がある。そこから出るダストの検出器を探査機に搭載し小惑星付近で化学分析する。地球にサンプルを持ち帰る「サンプルリターン」に匹敵するという。

 さらに欧州が主導し22年度に探査機の打ち上げを目指す木星の氷衛星探査計画「JUICE(ジュース)」も進む。氷衛星の周回機は世界で初めて。木星のような巨大なガス惑星の周囲にある氷衛星の地下の海の存在に注目が集まる。同衛星に地下の海があるとの仮説を検証する。JAXAは探査機に搭載する観測機器の開発や科学ミッションに参加する。

日刊工業新聞2018年9月4日

COMMENT

これらの宇宙ミッションは宇宙の謎を解き明かすだけでなく、宇宙探査の技術を高めることにつながる。日本の技術力を今後の国際宇宙探査での場で生かすことが求められる。 (日刊工業新聞・冨井哲雄)

関連する記事はこちら

特集