相次いだ熱中症、どうすれば防げたのか

LIXILが警鐘を鳴らす室内の危険

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保育所に設置したスタイルシェード
 今夏は災害級の気温上昇を記録し、国内各地で熱中症の発生が相次いだ。様々な対策が取られる一方、屋内で発生する室内熱中症対策は見落とされやすい。消防庁によると、7月の熱中症による救急搬送は前年同月比約2倍の5万4220人。そのうち約42・8%は住居内で発生した。LIXILでは室内熱中症への危機意識の向上を目指し、室内の温度管理の重要性を発信するプロジェクト「シンクヒート」で注意喚起に努めている。

節電にも貢献


 「今まで効果的とされてきた室内熱中症対策が通用しなくなっている」と話すのは、LIXILハウジングテクノロジージャパン営業本部営業推進部営業企画グループの田中邦義主幹。いくら風通しがよい住居でも、もはや窓を開ける程度では室内温度を十分には下げられないと警鐘を鳴らす。「日差しを室外で効率的に遮ることで、室内温度の上昇を防ぐことが重要だ」(田中主幹)という。

 同社では窓に設置して使用する外付けタイプの日よけ(スタイルシェード)の活用を勧める。同社のスタイルシェードは主にポリプロピレン製で、耐久性は約5―10年。太陽熱の約83%をカットして、冷房の使いすぎ防止や節電に貢献する。

 遮熱には植物を利用する「グリーンカーテン」も効果的。だが、安価で手軽な一方で、葉の生育状況により効果は不安定だ。スタイルシェードは安定した遮熱効果に加えて、汚れに強く強風の時でも簡単に収納できる。取り付けも窓一つにつき約30分で済む。

保育所で好評


 2017年8月に埼玉県熊谷市と開始した共同プロジェクトでは、保育所12施設にスタイルシェードを取り付けた。この結果、多くの職員から「日当たりの良い室外の廊下でも、日差しを気にせず子どもを遊ばせることができた」「すだれだと設置が重労働で大変だったが、楽になった」との評価を得た。外からの視線を適度に遮るため、プライバシー保護の観点からも喜ばれたという。現在は、熊本県の災害公営住宅45戸でスタイルシェードの設置工事中だ。

 熊谷市で集めたデータをもとに、入居者向けの室内熱中症に関する予防啓発も進める予定。啓発活動では、相手に体感してもらうことを重視する。東京都新宿区にあるショールームには、室内温度の違いが体感できるスタジオを設置。「普段意識しないからこそ、体感することで室温管理の重要性を納得してもらう」(田中主幹)ことが狙いだ。

温度計を配布


 7月からは首都圏を中心に小学校への出前授業を開始。実験を交えて社員が説明する。講師役の社員は全社員の中から選出するため、社員教育にもつながる。グループ内の全従業員に温度計を配布し、日頃からの室内温度への注意も呼びかけている。

 田中主幹は「住まいは食や運動と比べて健康面で意識されにくい。室内にも危険が潜んでいることをより多くの人に知ってもらいたい」と力をこめる。同社では、冬場の住宅内で起こるヒートショックの防止にも積極的で、住宅の断熱性向上や脱衣所・浴室の温度管理に役立つ製品を紹介して注意を促している。
(文=国広伽奈子)
実験キットを使った出前授業

日刊工業新聞2018年9月17日

COMMENT

国広伽奈子
デジタルメディア局
記者

田中主幹によると、グリーンカーテンは虫の発生が嫌で導入をためらう人も少なくないとのこと。「植物にとってはいいことだけど・・・」と複雑な心境です。

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