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未納金問題が左右する?どうなる大阪万博誘致

11月23日に投票
未納金問題が左右する?どうなる大阪万博誘致

誘致ロゴマークを発表する(左から)世耕弘成経済産業相、榊原定征誘致委員会会長、松井一郎大阪府知事(7日)

 大阪・関西が誘致を目指す2025年国際博覧会(万博)は、11月23日の博覧会国際事務局(BIE)の加盟国による投票に向け、最終段階に入った。確実な誘致獲得には3分の2の支持が必要。勝算が気になるが現状、「確信はない」(大阪府万博誘致推進室)。それはライバル国も同じ。状況を見えにくくしている背景には、BIEの投票の仕組みや分担金未納などの事情も影響しているようだ。

 BIE本部はフランスのパリ。加盟国は170カ国。加盟国には、経済規模に応じ分担金が毎年求められる。分担金を支払わなければ投票権はない。現在、40数カ国が未納状態という。ただ、未納分を支払えば投票できるため、潤沢な資金や強力な指導力を持つ国なら、未納分を肩代わりして支持を得ることは十分考えられる。

 誘致を目指すのは日本、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)の3カ国。情報収集はホームページや会員制交流サイト(SNS)に限られ、ライバル国の動きは分からないのが現状。とはいえ、未納国数は無視できない規模。日本は動向を注視していく必要がある。

 投票の仕組みも支持をあいまいにしている。無記名ボタン式のため、例えば「支持する」という口上書をある加盟国から手に入れたとしても、どの国に投票したかは確かめられないからだ。3カ国は結局、最後まで加盟各国の支持を訴え続ける必要がある。

 そんな中、日本はライバル国にはない、経済界による支援が好材料となっている。大手商社の海外駐在員らを中心とした約70人が、世界中で活動している。加盟国を定期的に訪問し、最新情報が入ってくる。大阪府万博誘致推進室は「非常に心強い」と期待をかける。

 地域別の加盟国数は、アフリカの49カ国、中央アジアを含む欧州の47カ国が多い。日本の官民は今後、夏の長期休暇を終え、態度表明を本格化する欧州諸国への接触に力を入れるほか、アフリカ諸国には10月に東京で開く「アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会議」を通じ、支持を訴えるという。大阪府の松井一郎知事は、これまで100カ国以上の加盟国の要人や駐日大使らに支持を要請している。

 11月23日の投票では、3分の2以上を占めれば、その国に決まるが、以下なら得票数の上位2カ国で再度投票し、上位の国に決まる。
(文=青木俊次)
日刊工業新聞2018年9月14日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
勝つには訴え続けるしかなく、今後も気の抜けない活動が続く。 (日刊工業新聞社大阪支社・青木俊次)

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