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ローソンが女性オーナーの意見をきっかけに始めた働き方改革

男性の育休取得奨励も
ローソンが女性オーナーの意見をきっかけに始めた働き方改革

社員の子供を職場に招く「ファミリーデー」を13年ぶりに実施

 ローソンは妊娠中の店舗従業員のうち、希望する人の名札ケースに「マタニティマーク」を入れる取り組みを始めた。重い荷物を扱う際などに配慮が必要な一方、自分からは説明しづらいという声に対応した。多様な背景を持つ人が快く働くことができる環境作りを、店舗と本部の両輪で進めている。

 マタニティマーク導入は、女性オーナーからの意見がきっかけだった。ローソンは女性の加盟店オーナーが構成する「オーナー福祉会女子部」を設けている。妊婦が安心して働き、復職もしやすい職場環境づくりの一助とする狙いだ。

 本社のダイバーシティも進む。新卒社員の約2割は外国人だ。留学生に加え、2017年には、ベトナムと韓国での現地採用活動を始めた。

 男女の新卒採用比率はほぼ同じ。店舗は基本的に24時間営業で、かつての労働基準法が女性の深夜勤務を原則禁じていたため、05年ごろまで男性が8割前後だった。山口恭子人事本部長は「女性社員の増加は、商品開発やサービスに生きている」と話す。

 最近、力を入れているのが子育て支援策だ。本社に保育施設を設けたり、育児休業中の女性に対する集合研修を実施したりしている。産休を取った女性社員の復職率は96・1%と高水準だ。

 男性の育休取得も奨励している。13年度は0%だった男性の育休取得率は16年度、17年度は8割を超えた。

 一方で同僚社員にとっては、育休中の社員のフォローをする必要が出てくる。ローソンは男性社員が育休を取る場合、その子どもの名前が入ったどらやきを制作。上司から同僚社員に配ってもらうことで、フォローに向けた雰囲気づくりをしている。

 8月には、社員の子どもを本社に招く「ファミリーデー」を13年ぶりに実施した。「同僚の家族について、周りの社員に知ってもらう」(多胡敦史人事本部人事企画マネジャー)のが狙いだ。子供に働く姿を見せることで、理解を得やすくするとの思いもある。

 参加した子ども18人はあいさつや名刺交換といった“マナー研修”を受けた後、親が勤務している部署を訪問。周りの社員の中には戸惑ったような表情の人もいたが、やがて「目元が(親子で)そっくり」などと盛り上がっていた。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2018年9月14日
江上佑美子
江上佑美子 Egami Yumiko 科学技術部 記者
 従来、コンビニエンスストアの顧客は若年男性が主だったが、共働き世帯の増加や少子高齢化の影響で、主婦や高齢者が増えている。人手不足などを背景に、店舗では外国人の従業員が増加傾向だ。こうした「多様性」に対応できる発想が求められている。

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