縮小する燃料油市場、業績伸ばす給油所が始めた“ホテル水準”

エネクスフリート、快適な空間とサービス提供

 国内燃料油市場は、1999年をピークに減少傾向をたどり、全国に6万店あった給油所(SS)も3万店余りに半減した。こうした状況下で、伊藤忠エネクスの石油販売子会社、エネクスフリート(大阪市淀川区)はトラック燃料の軽油販売で、プロドライバーに快適な空間とサービスを提供し、業績を伸ばしている。

 「フリート」は自動車関連業界で大口法人顧客を指す。トラック運送事業者向けの燃料販売は、トラックターミナルなどの専用給油設備にタンクローリーで納入するインタンク方式と、SSで車両に給油する契約料金の掛け売りがある。一括納入のインタンクはマージン(利幅)を取りにくい。同社は長距離トラックのドライバーに、SSで休憩を兼ねて給油してもらう掛け売りに注力する。

 石油元売りのブランドに加えて「エネフリ」の看板を掲げる同社SSは「平均で敷地面積1000坪(3300平方メートル)」(茂木司伊藤忠エネクス執行役員兼エネクスフリート社長)という規模。大型トラック30台分の駐車・仮眠スペースを備えた店舗もある。

 15年4月からエネクスフリートを率いる茂木社長は、販売促進について「基本は(ドライバーを)呼び込み、逃さないこと」と明快に語る。集客策では給油量に応じてポイントシールを発行し、景品と交換する「トラック祭」を定期的に開催。そしてトイレ清掃を徹底することから始め、店舗設備の充実を図りながら接客サービスも向上し、プロドライバーの囲い込みに成功している。

 17年度の全国軽油販売量は前年度比0・5%減の3269万キロリットル。それに対し同社を中心とする伊藤忠エネクスグループの販売量は同4・0%増の340万1000キロリットルで、シェアを同0・4ポイント増の10・4%とした。

 「軽油という商品はどこで買っても同じ。来店したドライバーに安らぎを感じてもらえるよう“ホテル水準”を合言葉に、受け入れ設備の充実とサービスレベル向上に努めてきた」(同)と振り返る。浴室やシャワー設備の導入も進め、17年から一部店舗で専用PETボトルによるアルカリイオン水の無料提供を開始。多くの店がコインランドリーやコンビニエンスストアを併設する。

 景気の緩やかな回復で、国内物流の約9割を担うトラック運送ニーズも上向き傾向。ガソリン需要がエコカーの普及で年率2―3%減が続いているのに対し、軽油需要の落ち込みは小さい。ただ、中長期的には脱炭素社会への移行が避けられない。
(文=青柳一弘)

日刊工業新聞2018年9月14日

日刊工業新聞 記者

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09月14日
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同社は将来への布石として6月、日本で初めての液化天然ガス(LNG)を燃料とする大型トラック営業走行試験に協力するため、エネフリ大阪南港店(大阪市住之江区)にLNG供給設備も設置している。
(日刊工業新聞社・青柳一弘)

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