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ガソリンスタンド減少止まらず、石油元売の次の一手

JXTGエネが電力小売り拡大、来年に家庭向けガス参入
 JXTGエネルギーは電力小売り事業を拡大する。2018年に家庭向けガス小売り事業に参入しセット販売を始めるほか、19年にも現在二つある家庭向け電力小売りのブランドを統一して販売を効率化する。主力の石油関連事業が長期的に需要減少が見込まれる中、次世代の事業の柱と位置づける電力事業の育成を急ぐ。

 JXTGエネルギーは16年4月に家庭向けの電力小売りに参入し、11月末までに34万件の顧客を獲得している。サービス拡充の一環として、首都圏でガスを併売してセット割引などを提供することで顧客への訴求力を高める。

 ガス参入に必要な保安体制は関連会社のLPガス会社の活用や、東京ガスなど他社との連携を検討する。

 家庭向け電力小売りのブランドも統合する。旧JXは「ENEOSでんき」、旧東燃ゼネラルは「myでんき」のブランドで電力小売りに参入し、17年4月の会社統合後も二つのブランドを残している。

 二系統ある顧客管理と需給管理のシステムを19年度の上期までに一本化する計画で、ブランド名も「ENEOSでんき」に統一する方向で調整する。

 LNG(液化天然ガス)火力発電所の建設も検討する。自社電源を拡充することで競争力を高める。現在、販売電力量に対して自社の発電能力が3割程度不足しており、卸市場から調達している。
日刊工業新聞2017年12月28日
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
ガソリンスタンドの数は減少を続け、ピークの1994年度6万店強から2016年度は約半分になった。国内の石油各社は、主力の石油関連事業が長期的に需要減少傾向にあるなかで、提携や合併を模索し、新たな市場開拓に活路を見出さざるを得ない。かつての石炭業界の轍を踏んではならないのだ。JXTGエネルギーが次世代の事業の柱と位置づける電力事業に注力するのはそのためだ。電力小売りの拡大や家庭向けガスへの参入は、市場の活性化につながり消費者に資するので大いに歓迎したい。

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