大工の流出どう防ぐ?ハウスメーカーがあの手この手

若手の教育、制度改善で人材の定着を

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東京セキスイハイム東日本施工技術研修センターで開いた大工学校
 産業間で過熱する人材獲得競争が大工の人材確保に影を落としている。高齢化に加え、仕事の大変さから人がなかなか定着しないことも業界にとって悩みの種だ。大手ハウスメーカー各社はそれぞれの切り口から大工流出を防ぐ取り組みを進めている。

東京セキスイハイム施工、新人向け訓練充実


 積水化学工業住宅カンパニーグループの東京セキスイハイム施工(埼玉県蓮田市、内山勲社長、048・768・5333)は、住宅の内装を手がける大工の高齢化対策として新人大工向けの訓練計画を作成した。基礎研修や工具の使い方などについて1年半の指導計画を立案し、訓練の機会を得にくい若手と指導方法が分からない現場の双方の不安や不満を解決する。

 経験による技能習得を重視し、毎年7―8月には研修施設で2カ月間の大工基礎訓練を実施。2012―18年の7年間で45人が参加し、24種類の課題を通じて技能の基礎を身につけた。同社の高橋功一統括部取締役部長は「従来は〈見て覚える〉が主流だったが簡単なことではない」とし、「訓練を通して〈自分でもやればできる〉ということに気付けたら自信になる」と強調する。

大和ハウス、処遇改善へ制度拡大


 大和ハウス工業では、若手の入職促進や育成と同時に大工の処遇改善を進めている。15年から建設業務の従事者に適用してきた「優秀技能者認定制度」を、19年度から住宅分野にも拡大。認定条件を満たした従事者に対し、一定の金額を日当に上乗せしてモチベーションの向上を図る。

 今後は就労履歴や資格情報の確認に役立つ「建設キャリアアップシステム」の活用や、「建設業退職金共済制度」で発生する事務作業の負担軽減に向けた取り組みも進める予定。建築以外の作業でも効率化を進めることについて、同社の和田彰彦技術本部技術部長は「小さいことの積み重ねで全体の生産性を底上げしなければ製造業の人材獲得競争に勝てない」と説く。

 野村総合研究所(NRI)は30年までに大工人口が21万人まで減少すると予測している。人口減少や大工の高齢化が懸念される中で、人材が定着できる魅力ある職場作りの重要性は今後さらに増すと見られる。

(文=国広伽奈子)

日刊工業新聞2018年9月5日

COMMENT

国広伽奈子
デジタルメディア局
記者

大工不足が危惧されている中、新人の大工が短期間で成長するには「見て覚える」より「体で覚える」ことが重要とのこと。自分の成長を実感する機会があることについて、若い人たちから好評だそうです。労働環境や報酬の見直しは、大工として働くことの魅力を高めるためにも避けては通れない課題です。

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