ニュースイッチ

三菱電機が長期研究を拡大、「やりたいことをやらせる」

常務執行役開発本部長・藤田正弘氏インタビュー
三菱電機が長期研究を拡大、「やりたいことをやらせる」

三菱電機公式ページより

 三菱電機が10年以上先の実用化を見据えた長期の研究開発を拡大している。研究開発費の内訳では10年ほど前には数%だったものの、2017年度には10%にまで増えた。市場からは短期的な成果を求められる中、目先の利益に走り過ぎず、持続成長を可能にする研究開発体制をどのように構築するのか。研究開発を統括する藤田正弘常務執行役開発本部長に聞いた。

 ―長期を見据えた研究開発は環境の不確定要素も多い。テーマ選定も難しいのでは。
 「当社は原則、ボトムアップ。研究者による下からの提案で開発テーマを決めている。もちろん、何でもよいわけではなく、経営戦略に照らし合わせる」

 ―その範囲内では自主性に任せているわけですか。
 「私の場合、やりたいことをやりたいようにやらせている。当然だが、私や管理職が研究分野の全てを知っているわけではない。現場の人間の方が技術も市場動向も詳しい。初期段階では研究費用も多くはかからない」

 ―技術が花開くかの見極めはどのようにしてますか。
 「担当者に任せている。私は『もう止めろ』とはいわない。やってみて、ダメかどうかは本人が一番分かる。結果として、モノにならなくても、そこまでのプロセスで得られるものはある」

 ―時間軸が長い研究開発をどのように評価しますか。
 「事業部から依頼される研究に比べて評価が難しいのは事実だ。ただ、長期といってもいくつかのマイルストーンがあり、そこで評価している」

 ―近年は事業間の垣根が低くなっていて研究開発部門の事業部へのアプローチも変わります。
 「開発部門は全ての事業部と付き合いがある。こちら側から、技術で横軸を通した提案も積極化したい」

 ―IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)がテーマとして珍しくない時代になっています。そうした中、注目される分野は。
 「セキュリティーだろう。データの活用が進めば、プラントなどへのサイバー攻撃も増えてくる。これまで以上に研究開発を強化したい」

三菱電機常務執行役開発本部長・藤田正弘氏
日刊工業新聞2018年8月31日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
やりたいことをやらせるのは「かつて部下に実用化が難しいのではないかと指摘した案件が数年後に花開いたことがきっかけ」だ。長期研究の割合が全体の10%であることは「企業規模からして、ちょうどよい割合」とも。業績の浮沈に左右されない、骨太の開発体制はでき上がりつつある。

編集部のおすすめ