三菱電機、「優等生」の殻破れるか

問われる成長力

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杉山武史社長(写真は4月4日インタビュー時)
 三菱電機の成長力に市場が注目している。安定した利益率を誇り「電機業界の優等生」と呼ばれ、2017年度決算は過去最高水準となったが、足元ではFA関連の受注に一服感があり、足踏み感も出る。28日に都内で開いた株主総会でも、株主から収益性を問う声があがった。

 17年度は三菱電機にとって記念すべき年となった。売上高、営業利益はいずれも過去最高。売上高ではメモリー事業の売却を織り込んだ東芝を抜いた。ただ、18年度は一転する。例年、期初の利益見通しが保守的とはいえ、減益予想で利益率も下がり、踊り場を迎える。

 今後、三菱電にとって一つ目のハードルとなるのが、20年度までに売上高5兆円、営業利益率8%以上の数値目標だ。

 18年度見通し比で売上高5000億円増、営業利益率1ポイント増以上が求められる。杉山武史社長は従来の枠組みの延長線上での目標達成を可能としているが、今期も含め3年での達成目標として壁は低くない。

 投資家の視線は20年度に集まるが、20年度以降の成長戦略をどう描くかが二つ目のハードルにして最大の課題になる。

 同社は各事業部が強いのが特徴だ。杉山社長は5月に開いた事業説明会で、事業部の特性を保ちつつも、「(開発から)事業化につなぐまでの取り組みを組織的に強化したい」と語った。部門間を緩やかに連携させ、炭化ケイ素(SiC)を使った半導体や第5世代の移動通信技術などを基盤に「化学融合」も狙う。M&A(合併・買収)の積極化も予想される。

 これまで三菱電は売上高では日立製作所の2分の1以下ながらも営業利益率で上回ってきた。だが、17年度に逆転され、18年度はその差が開く。17年度に営業利益で最高益を計上しながら、株価は年初から2割以上落ち込む。

 杉山社長は株主総会で「変えてならないものと、変えていくべきものがある」と力強く語った。「ポスト2020」により一段高い成長を実現するためには、「優等生」の殻を破ることも期待される。
 

(2018年6月29日エレクトロニクス面)

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栗下直也
デジタルメディア局
編集委員

堅実経営の同社が、どこまで攻めに軸足を移すのかが今後の焦点になる。(栗下直也)

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