指定国立大に名古屋大が追加された理由

地域の国立大学を束ねる構想を打ち出す

 文部科学省は20日、世界最高水準の研究や教育を目指す「指定国立大学法人」として、名古屋大学と東京工業大学を追加したと発表した。名大は地域の国立大学を束ねる“1法人複数大学”構想を打ち出した。計5大学となった指定国立大のうち、唯一の提案だ。東工大は未来社会像の立案や情報発信を担う機構の設立で、社会との対話を強化する。

 名大が掲げる「マルチ・キャンパスシステム」は、地域の中小規模国立大学とともに1法人になるもの。法改正が必要なため、政府で議論中の仕組みだ。名大は旧帝大のうち最後発で規模も小さいため、他大学と弱みを補い合うメリットを重視する。岐阜、三重、名古屋工業大学などが連携対象になりそうだ。

 東工大は、社会との対話を重視する「未来社会デザイン機構」を新設する。科学技術による未来社会像を卒業生や外部を巻き込んで議論する。国際広報企画室での発信に加え、人材多様化や若手教員による未来型研究につなげていく。指定国立大は世界の有力大学との競争がミッションだ。第3期中期目標期間中(2021年度まで)の指定で、条件を満たす7大学が申請し、17年6月に東京大学、京都大学、東北大学が指定されていた。

 今回の2大学は計画を練り直しての再申請だった。大阪大学と一橋大学は再申請していないが引き続き、指定候補となっている。

日刊工業新聞2018年3月21日

山本 佳世子

山本 佳世子
03月21日
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 国立大学の再編となる「1法人複数大学」プランを、名古屋大学が持ち出したことは興味深い。政府や有識者会議は再編に前向きだが、小規模大学は「吸収されて消滅してしまうだけでは」と消極的だからだ。中京地区でのこの動きは、規模感や地元産業界との関係性などを考えると、適切なモデルとなるかもしれない。
 また大阪大学と一橋大学は、指定候補でありながら今回、申請自体をしなかった。阪大は入試ミスで大学ガバナンスの問題を露呈しており、一橋大は世界トップ大学と競う研究力が不足(文系の学術の国際競争力が低いことは、日本の大学全体課題だ)しているなどが要因だろう。両大学は今後、どう動くのだろうか。

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