富裕層や中高年を囲い込め、資産形成需要の掘り起こしに躍起の証券各社

「人生100年時代」備え万全に

 大手証券各社が富裕層や中高年をターゲットに顧客の囲い込みを強化している。「人生100年時代」を迎え、退職してからの資産形成や、蓄積した資産をどのように次の世代に託すかなど、今後のニーズの高まりが期待される。高齢者は現役世代よりも金融資産の保有残高が多く、個人金融資産のうち60歳代以上が約6割を保有しているとされる。商機を逃すまいと、各社で人員を増やすなど、競争が激化している。

 「貯蓄から投資」が叫ばれてから約20年になる。それでも約1800兆円を超える家計の金融資産残高は、およそ半分が預金などで眠っている。高齢化が進み、2025年には、戦後間もない47―49年ごろのベビーブーム時に生まれた“団塊の世代”が75歳以上になる中、各社ともニーズの掘り起こしに懸命だ。

 野村ホールディングス(HD)は、資産運用や資産管理に関する学習を支援する場として「金融アカデミー」(仮称)の設置を検討する。主な対象者は55―65歳と、退職を控えた世代の利用を見込んでおり、団塊の世代と比べるとやや若い。

 金融アカデミーは、約3カ月間の有料プログラムを構想。専門家による講義形式で資産運用や資産管理など、投資の基本から応用までを学ぶ。オンラインによる配信も視野に入れる。

 野村HDによると、顧客の満足度が高まると、入金額が増加する傾向にあるという。高齢者へのサービス強化として、高齢顧客やその家族を担当する「ハートフルパートナー」を一部で配置したところ、顧客の総合満足度が高まる結果が出た。このためハートフルパートナーを全店配置するなど、顧客ニーズに応じたサービスの充実を図る。

 「人生100年時代と言われる中で、資産を増やしたい、守りたい、つなげたいなど、ニーズが細分化している」。大和証券グループ本社の中田誠司社長はこう指摘する。

 同社も高齢者の顧客を専用に担当する「あんしんプランナー」を現状の約40人から、2年後をめどに200―300人程度まで増やす。

 相続関連業務で専門性の高い「相続コンサルタント」は、およそ100人が約100支店に配置されているが来春までに全支店への配置を目指す。

 メガバンク系列の証券会社も、高齢者層や富裕層を対象にしたサービスを強化する動きを見せる。

 みずほ証券は50歳以上の社員で、ファイナンシャル・プランナー資格(AFP)と相続診断士の資格を保有し、社内研修を受講した「シニアコンサルタント」を強化。資産承継や資産運用に関する相談などに応じる。7月末時点では18人だが、19年3月末には75人まで増える見通し。

 みずほ銀行との連携では、銀行店舗内の拠点「プラネットブース」も活用していく。「首都圏での拠点網は厚い。これを積極的に生かしていく」(みずほ証券の飯田浩一社長)考えだ。

 三菱UFJ証券ホールディングスでは、富裕層が抱える資産運用ニーズに対応したウェルス・マネジメントに関係するビジネスの拡大を進める。

 フィナンシャルアドバイザリー組織を中心に、三菱UFJ銀行との連携を推進。6月時点における関連業務の担当人員約180人から、20年度までに約280人へと増強する予定だ。

日刊工業新聞2018年8月16日

日刊工業新聞 記者

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08月19日
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富裕層や高齢者層の場合、資産運用のほかに法律知識が欠かせない相続問題など、専門的スキルを求められるケースも多い。将来性や必要性などをしっかりと説明できるなど、総合的に任せられる信頼性がより一層、求められることになる。
(日刊工業新聞社・浅海宏規)

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