「相談役」の経営介入は許さず!

富士通は廃止、三菱商事は無報酬に

  • 0
  • 0
(写真はイメージ=PIXTA)
 上場企業で相談役や顧問の制度を見直す動きが出てきた。富士通は退任した役員が就いてきた相談役や顧問のポストを3月末に廃止、三菱商事は社長経験者が就任する相談役を2020年7月から非常勤で無報酬とする。相談役や顧問をめぐっては、これまでも役割がはっきりしない上、OBによる現経営陣への不当な介入が指摘されており今後、各企業でそのあり方があらためて問われることになりそうだ。

 経済産業省のCGS研究会報告書によると、上場企業の約6割に相談役や顧問が在任している。その役割については「業界団体や財界での活動など」を挙げた企業がおよそ35%ある一方で、「役員経験者の立場から現経営陣への指示・指導」を挙げた企業も約36%あった。

 経済同友会の小林喜光代表幹事は「経験を踏まえて活躍している人はたくさんいる。人事や経営戦略など、社業に対する口出しさえしなければ、個々の企業の社会貢献などにつながり、ポジティブに捉えるべきだ」と語る。

 一方、政府の「未来投資戦略2017」ではコーポレートガバナンスに関する透明性を高める必要性を指摘している。東京証券取引所では1月から、「コーポレート・ガバナンス報告書」に社長などを退任した相談役や顧問などの状況に関する記載欄を設けた。ただその開示は任意のため、東証によるとこれまでに提出されたコーポレート・ガバナンス報告書を更新した企業のうち、これを記載したケースは約220社だった。

 経団連の榊原定征会長は世界の潮流に即した動きとしながらも、「一部で言われているような相談役や顧問に問題があるわけではない。大事なことは透明性を持つことだ。株主の理解を得られる形で存続するのはあり得る話だ」と強調する。

 PwCあらた監査法人が東京証券取引所の上場企業を調査対象にまとめたコーポレートガバナンスに関するアンケートによると、過去1年間で社長やCEO経験者が相談役・顧問に就く制度の問題についてどのような取り組みをしているかの問いに「特に実施していない」と答えた企業は62%で、役割を見直すケースは少数にとどまる。
 

日刊工業新聞2018年5月30日

COMMENT

3月期決算企業の場合、6月の株主総会終了後にコーポレート・ガバナンス報告書を提出することが多くなるため、各社の対応が注目される。 (日刊工業新聞社・浅海宏規、鈴木真央)

関連する記事はこちら

特集