パラリンピックに向け競技用車いす開発白熱

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東京パラリンピックの車いすバスケットボール競技で採用を目指す車いすのキャスター
 東京都大田区は、区内企業に声をかけ、松永製作所(岐阜県養老町)が製造する車いすバスケットボール用車いすの部品を設計・製造するプロジェクトを進めている。この中でカセダ(東京都大田区)は、キャスターの設計を担当した。加世田光義社長は「アスリート向けのモノは機能性が高く、一般人も使いたがる傾向がある。自社製品化も期待している」と明るい笑顔をみせる。

構造突き詰める


 キャスターは軽い力で長く回転し、かつ市販品比で40―50グラムほど軽くなるように設計した。選手の腕の負担軽減とスピードアップに貢献する。車いす全体を製造する技術者と選手、双方の意見を取り入れた。

 ただ、技術者との打ち合わせでは大きな課題が出てきたという。加世田社長は「『こういうモノだ』と思って市販のキャスターを使っている。キャスターがなぜこの構造なのかを突き詰めていない。選手の意見を聞いて、ここから考える必要がある」と真剣だ。

選手に好評


 キャスターは東京の強豪チーム「NO EXCUSE」の選手により実証実験済み。多くの選手から好評を得たが、ここからの改良が重要だ。同区のプロジェクトではこのほかパイプの継ぎ手を製作している。東京五輪・パラリンピックまで、試行錯誤が続く。

 日進医療器(愛知県北名古屋市)は、バスケットボールやテニス、陸上競技用の車いすを手がける。車いす販売店などを通じて、パラリンピック出場を目指す選手個人からの注文に応じてオーダーメードしている。
日進医療器が手がけるバスケットボール用車いす

個人から受注


 バスケットボールのようなチームスポーツでも、チーム単位での注文はほとんどないという。選手ごとに異なる体格などに合わせた仕様になるため、体格測定や使いやすさなどにおける選手個人の要望を聞いて形や大きさなど仕様を決め、選手個人での注文になる。

 ただ同社は、パラリンピックのスポンサーではないため宣伝活動はできない。パラリンピックという1回だけの特需は意識せず、パラリンピックも含めた多くの競技機会で使用してもらうことを狙っている。

 選手の要望に応じて改良を繰り返し、一品モノを作り込む。ニーズにきめ細かく柔軟に対応できる中小企業にとって本領発揮の場といえる。

日刊工業新聞2018年8月16日

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連載「オリンピックへの道 「出場」目指す中小製品3」です。明日が最終回です。

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