パラリンピック選手を支えるものづくり会社たち

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冬季パラリンピックと縁が深い。アルペン競技で使うチェアスキー(ブースに納められているいす)の素材を説明する川村義肢の川村社長
 川村義肢(大阪府大東市)は、義手や義足といった義肢や、体の機能を支える装具を手がけている。東京パラリンピックに向けては車いすテニス、ウィルチェアーラグビーなど5―10種目で、出場を目指す選手に競技用車いすの座席シートなどを提供している。

製作依頼相次ぐ


 同社がパラリンピックに関わったのは今から約20年前。冬季競技アルペンスキーでチェアスキーのシートを手がけたのがきっかけ。シートを使った選手の活躍により同社の評判が高まり、今では他競技の選手からも製作依頼が舞い込む。

 シートは、選手の体格や求める動作、団体競技では選手のポジションで仕様が変わる。同社では選手の要望を引き出し装具に反映する。さらに仕様に合う素材を求めて素材メーカーに社員が赴くこともある。

 川村慶社長は「せっかく作るなら、金メダルを目指す選手を支える装具を作りたい」と話す。ただ「装具で選手の体を絶対傷つけてはいけない」(川村社長)と、あくまで選手の体を第一に考えた装具を心がける。

 今まで夏季大会で、同社の装具を付けて金メダルを獲得した選手はいない。川村社長は「装具を付けたパラリンピアンの活躍で、日本中を明るくしたい」としている。

独学で技術習得


 鉄道弘済会(東京都千代田区)の義肢装具士である臼井二美男氏は、生活用の義足を作るかたわら、競技用義足を製作する。もともとスポーツ用の義足をつくる人がいなかったため、1989年にボランティアで製作開始し、独学で技術を習得。開発をサポートしてきた陸上選手が00年のシドニー・パラリンピック大会に出場した。
選手に合わせた調整を施す鉄道弘済会の義肢装具士・臼井さん

 競技用義足はブレードというカーボンの板バネと、切断部分に体重がかからないようにするためのソケットがある。二つを組み合わせることで義足となる。底を先端から少し浮かせ太ももやお尻の部分で支え、そこに体重をかけるようにする。

無償で義足貸与


 選手ごとに調整が必要なため、費用は個人の負担となる。鉄道弘済会では、5年前から義足で走ってみたい人を対象に無償で貸し出し、選手の発掘を行っている。

 臼井氏は「スポーツをすると目標ができて、障がいの不安が軽減される。日常においても『個』として自信がつく」と強調する。さらに“パラリンピックの技術”を通じて、競技人口の増加を後押ししていく考えだ。

日刊工業新聞2018年8月15日

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連載「オリンピックへの道「出場」目指す中小製品」の2回目です。(全4回)

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