トヨタ最高益の中、系列サプライヤー13社の業績まるっと早わかり

先行投資や貿易摩擦が利益に響く

  2018年4―6月期連結決算で売上高、当期純利益が過去最高を更新したトヨタ自動車。ところでグループの主要部品メーカーは儲かっているのか。

 主要7社の2018年4―6月期連結決算は全社が増収だったが、4社が営業減益となった。国内で新型車向けに部品の供給が好調だったほか、中国やアジアで需要が拡大したが、先行投資の増加や米国の鉄鋼・アルミニウム製品に対する輸入関税などが利益を圧迫した。デンソーや豊田合成などが売上高で過去最高を更新し、アイシン精機は営業利益も過去最高に達した。

 デンソーは日本での売上高が7788億円(前年同期比15・3%増)となり、北米や欧州、アジアでも2ケタの伸びを示した。過去最高の設備投資と研究開発費を投じるため営業減益基調だが、「このまま円安が続けば、(通期で)営業利益4000億円を超えてくる」(松井靖常務役員)という。

 豊田自動織機の河井康司常務役員は「前年同期に退職給付制度の変更の影響があったので、実質的には増収増益」と説明。欧米を中心にカーエアコン用コンプレッサーの販売が増加し、産業車両も引き続き堅調だった。

 アイシン精機は自動変速機(AT)の販売が中国などで好調に推移した。中国での売上高は1099億円(前年同期比26・0%増)、営業利益180億円(同36・4%増)と大きく伸びた。

 19年3月期決算は全社が増収、4社が営業増益を見込む。デンソーは想定為替レートが円安に推移した18年4―6月期の業績実績を踏まえ、売上高を期初公表値比800億円増、営業利益を同140億円増などに上方修正した。

 また米国の鉄鋼・アルミニウム製品に対する輸入関税などについての影響額に言及。デンソーは鉄鋼・アルミ製品では連結営業利益ベースで年間20億円程度の営業減益要因となる。さらに米国と中国が互いに課した自動車部品などの追加関税の発動により、香港で集中調達して世界に輸出している一部の電子部品が同20億―30億円のマイナス影響となる。

 トランプ米政権が完成車や自動車部品の追加関税を最大25%まで引き上げる検討をしていることについて、松井靖常務役員は「発動されると(年間)700億―800億円の課税強化となる」と懸念を示した。

 豊田自動織機は鉄鋼・アルミの輸入関税と、米中が互いに課した自動車部品などの追加関税の合計で年間数十億円の利益下振れ要因となる。河井康司常務役員は「調達先の変更も始めている。できる限り数十億円という影響を少なくしていきたい」と強調した。アイシン精機は鉄鋼・アルミの輸入関税による営業利益圧迫は概算で年間10億円未満、ジェイテクトは同17億円程度になる見通しだ。トヨタ紡織や豊田合成、愛知製鋼は影響がほとんどないか、小幅にとどまるとしている。

 一方、中堅部品メーカー6社の2018年4―6月期連結決算は、4社が営業増益だった。日本やアジア事業の伸びで北米の減少を補う会社が多い。売上高は3社が増収、3社減収と分かれた。一部企業からは米中間で強まる貿易摩擦の影響を懸念する声が上がった。

 東海理化は国内でトヨタの高級車ブランド「レクサス」向けのスイッチ類などが伸び、売上高と経常利益で4―6月期の過去最高を更新。愛三工業や中央発條は部品の現地調達や内製化拡大などが寄与し、営業増益。ファインシンターも米国工場での変速機部品などの立ち上げが順調で、営業増益を確保した。

 一方、フタバ産業はホット(熱間)プレス設備などの投資で減価償却費がかさみ、営業減益。大豊工業もトヨタの新設計思想「TNGA」向けのプレス機などの設備受注が一服し、営業減益だった。

 19年3月期業績予想は2社が上方修正。東海理化は売上高と当期利益、中央発條は営業、経常の各利益で過去最高を見込む。予想を据え置くファインシンターも営業、経常の各利益で最高を見通す。

 米中間の貿易摩擦に関して、中央発條は北米向けケーブル材料の一部を中国から輸入しており、関税引き上げが4―6月期の営業利益を約2000万円押し下げた。小出健太専務は「日本の材料にも関税がかかれば影響が出てくる」と警戒。東海理化の西田裕取締役は「現地生産の拡大が対策になるのでは」との見方を示した。
                

             

明 豊

明 豊
08月04日
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ほぼ想定の範囲内。個人的にはデンソーより製品ポートフォリオからアイシンの業績の方をいつも注目しています。

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