知的財産ビジネスで世界に売る。電通の伝統工芸プロジェクト

 アニメやゲームなどのキャラクターをメーンとした日本のIP(知的財産)ビジネスは少子化で転換期を迎えている。海外を含めた幅広い層に受け入れられるビジネスとして変化できるかが成長のカギとなる。この打開策の一つとして、伝統工芸品に着目したのが、電通だ。

 同社は5月からリタアルチザン(東京都港区)と、世界で「売れる」日本の伝統工芸品をプロデュースするプロジェクトを始動させた。電通が商品化権を持つIPとリタアルチザンの工芸品産地とのネットワークを融合し実現する。

 「技術はあるが、商売にならない」と苦しむ工芸品職人は多いという。「売るためのアイデアとしてIPを提供するので、そのIPに技術を活用して『売れる』工芸品をつくってほしい」(コンテンツビジネス・デザイン・センターの栗林秀樹シニア・マネージャー)とビジネスとして継続できるプロジェクトを目指す。

 第1弾として京都・長岡京の竹細工や茨城・笠間の笠間焼、香川・丸亀の丸亀うちわ、愛知の瀬戸白磁などゲーム「テトリス」とコラボした73の製品を完成させた。現在は、東京ミッドタウン(東京都港区)の「THE COVER NIPPON」で販売する。

 同プロジェクトのきっかけは第1弾のIPであるテトリス。ザ・テトリス・カンパニーからの依頼で、電通は16年から国内パートナーとなり、ゲーム以外でのテトリスビジネスを展開している。

 そうしたなかで「より日本らしいことができないか」(栗林シニア・マネージャー)と伝統工芸品との掛け合わせを思いついた。

 さらに、海外でIPは子どもやオタクのモノというイメージが強いという。「幅広い層に親しまれるテトリスと伝統工芸品で、大人にも抵抗なく手にとってもらえる」(コンテンツビジネス・デザイン・センターの在原遥子さん)と考えた。

 ただ「話題の段階で終わってしまい、まだビジネスとして成立したとはいえない」(栗林シニア・マネージャー)のが現状。特に世界への発信については販路や生産体制など課題はまだまだある。だが、企業や自治体などからの問い合わせも複数あり、今後に期待を込める。

 一過性にしないためにも第2弾、第3弾の準備もしている。単純なIPとのコラボではなく、「地方自治体や個人で頑張っている食品、流通、コンテンツベンダーなどさまざまなパートナーと連携」(在原さん)し展開していく。
テトリスと伝統工芸品で、大人にも抵抗なく手にとってもらえる…と在原さん

日刊工業新聞2018年7月27日

平川 透

平川 透
07月29日
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例えば日本酒や焼酎も多様性を極めた大切な文化だと思います。しかし、お酒の市場は低迷が続いています。大切にしないといけないけれど衰退の方向に向かっている、という現象は色々なところでみられます。幅広い分野とIPビジネスの掛け合わせに期待したいです。

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