博多人形の製法生かした筥崎宮おはじき

「人形師の腕や発想力が試される」

 博多に秋の訪れを告げる筥崎宮(はこざきぐう)(福岡市東区)の祭り「放生会(ほうじょうや)」。風物詩の一つ「放生会おはじき」は色とりどりのデザイン。「悪災をはじく」という意味を込めた縁起物だ。近年は希少価値から人気が高まり、購入のための徹夜の列ができるほど過熱。販売中止を余儀なくされた。

 そんなおはじきが生まれ変わった。博多人形師団体、白彫会(福岡市西区、小副川祐二会長、092・881・0850)が作る「筥崎宮おはじき」は「お宮参りの原点に戻っていつでも手に入るように」(小副川会長)との思いで3月から通年販売を始めた。

 10円玉ほどの大きさのおはじきは、御神紋や楼門、放生会の露店など筥崎宮にちなんだ20種が1セット。

 通年販売による人形師の負担を減らすため一つひとつを分担して作り、セットにする。テーマに沿って人形師たちが「アイデアや技を競い合う」(同)ことでデザインや色使いなど個性の違いを楽しめる。

 おはじきには素焼きで作る博多人形の製法を生かす。「人形師の腕や発想力が試される」(同)原型作りは、おおよその形を整えた後、へらで彫り込んで繊細に仕上げていく。原型から石こうの型を取り、たこ焼きプレートのような型を製作。型に粘土を押し込んで一度に数十個が出来る。

 乾燥を経て窯での焼成は水分を飛ばすため200―300度Cで2時間程かけた後、1000度C近くに上げて硬く仕上げる。上薬を使わずそのまま顔料で彩色して素焼き独特の風合いを醸し出す。

 博多人形を「世相を受け入れ、作り方や作品に反映する自由さがある」と語る小副川会長。江戸時代から続く伝統工芸は、製法や型などに時代の流れを取り入れて変化してきた。放生会おはじきも九州新幹線開通やオリンピックなど、その年の世相を反映している。

 「いいモノ、面白いモノを」(同)との思いで生まれ変わったおはじき。時代の刺激を受けながら次の伝統を練り上げていく。

日刊工業新聞2018年7月13日

日刊工業新聞 記者

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07月13日
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戦国武将の黒田長政による筑前(現福岡県)入国に伴い、職人を集めたことが起源とされる博多人形。白彫会は「何者にも染まらない純白な心で人形を彫る」との趣旨で若手人形師を中心に1948年(昭23)に立ち上げた。現在、幅広い世代のメンバーが定期的に展示会を開き、振興を図っている。

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