無電化の村を照らすパナソニックの発電設備

「社会貢献だけで終わらず、我々の経済価値にしたい」

 インドネシア・ジャワ島の北に浮かぶカリムンジャワ島の村で、パナソニックの独立電源装置「パワーサプライステーション」が稼働している。日中、太陽光パネルが発電した電気を学校へ届け、照明や天井扇に使う。

 島は夜間だけ電気が使える半無電化地域だ。パワーサプライステーションは太陽光パネルと蓄電池を連携させた発電設備で、出力は3キロワット。日本では小さな電源だが村の学校には十分な能力であり、パソコンやテレビを活用した授業ができる。

 パワーサプライステーションは日本政府の無償援助で寄贈され、インドネシア4カ所で稼働する。いずれも電力インフラが整っていない村だ。無電化であるため医師が定着しなかった島でも使われている。

 パナソニックエコソリューションズ社エナジーシステム事業部の山本雅一主幹は「継続的に使ってもらうことが大事。村や非政府組織(NGO)と使い方を話し合っている」と説明する。蓄電池の交換費も含め、維持に必要な資金計画のめどがついた村に設置している。故障しても修理資金がなく、使われないまま放置されることを防ぐためだ。

 バリ島の東、スンバワ島の村ではヤマハ発動機の簡易浄水機の動力をパワーサプライステーションの電気で賄っている。住民は衛生的な水を使えるだけでなく、水を容器に入れて村外へ売ることも計画している。水の販売収入を維持費に充てるためだ。

 パナソニックは技術指導もする。パワーサプライステーションを修理できる人が育てば、故障しても現地で対処できる。また、技能を身に付けた住民が電気工事を仕事にできれば収入も得られる。

 ミャンマーやインドもパワーサプライステーションを納入してきた。山本主幹は「電気があれば教育の質向上、医療や水の確保などいろいろな課題解決につながる」と確信する。技術指導によって経済力も高まる。SDGs(持続可能な開発目標)で言えば目標7(エネルギー)、3(健康)、4(教育)、6(水)、8(経済成長)などに貢献する。

 パワーサプライステーションへの引き合いが増えているという。無電化地域の生活向上に貢献したい企業が、購入して寄贈しようと検討している。まだビジネスと言える状況ではないが「社会貢献だけで終わらず、我々の経済価値にしたい」(山本主幹)と語る。他社にも共感を呼び、社会と経済の両方の価値向上につながる事業になろうとしている。

日刊工業新聞2018年6月19日

江原 央樹

江原 央樹
07月26日
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電気も熱も身近に存在する日本においてエネルギー産業支援を行う中で痛感するのが“エネルギーは目に見えず、その効果や効用がイメージしにくい、伝えにくい”ということだ。そこで、本記事の取り組みのように、エネルギーが実際に不足する地域の具体的なニーズを知ることによって“誰が何をするためにどんなエネルギーをどの程度必要になるのか?”ということが具体的になり、エネルギーを使う側も供給する側もその効果や効用をイメージすることが可能になる。その結果として、人々が必要と感じる商品や地域課題解決につながるソリューション開発ができるのではないかと思う。再生可能エネルギーやスマートコミュニティの技術が成熟しつつある中、より多くの日本企業が世界に目を向けて、エネルギーが不足する地域における商品・ソリューション開発を本格化させることを期待したい。

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