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「日本企業はSDGsの観客から選手になるべきだ」(国連大学上級副学長)

沖大幹氏インタビュー
「日本企業はSDGsの観客から選手になるべきだ」(国連大学上級副学長)

沖上級副学長

 国連の2030年目標「SDGs(持続可能な開発目標)」達成に貢献すると宣言する企業が増えている。しかし、宣言だけではビジネス機会を獲得できない。国連大学(本部=日本)の沖大幹上級副学長は17年10月、日本企業がSDGsの活用法を議論する場として「SDGs企業戦略フォーラム」を立ち上げた。「日本企業は受け身」と指摘する沖上級副学長に、企業に求められる取り組みを聞いた。

 ―フォーラムの活動は。
「旭硝子、イオンなど大企業20社が参加し、これまでに6回開いた。CSR(企業の社会的責任)担当者以外に財務担当者や経営層にも加わってもらい、何に悩んでいるか議論などをしている。これからは営業など事業部門の担当者にも参加してもらう」

 ―日本企業の課題は。
 「SDGsが世間へ急速に広がり、勉強会もたくさんできた。しかし日本企業は受け身だ。目標を理解し、経営に導入する手引書を読んで動くことはできるが、その先へは進みづらい。観客から選手になるべきだ」

 ―「選手になれ」とは、どういう意味ですか。
 「何に取り組むべきか、どういう会社が良い会社なのか、自ら考える必要がある。SDGsを超えた取り組みも求められる。自分たちで目標を定め、指標を作ってほしい」

  ―SDGsを超えた取り組みとは。
 「SDGsに法的拘束力はない。しかし欧米企業は環境や社会に配慮しない製品は取引しない、店頭で売らないと言い始めた。欧州連合(EU)は環境・社会に配慮しない製品を域内から排除しようとしている。価格競争だと欧州企業は途上国に勝てないと分かったからだ」

 ―SDGsを事実上のルールとし、自社・自国が競争で優位になるようにしている訳ですね。
 「民間企業の決め事でも、SDGsに貢献するのであれば誰も反対できない。日本企業も国際社会でうまく立ち回り、自社が有利に貢献できるルールを提言してほしい」
             

【記者の目】
 環境・CSRの分野で「ソフトロー」が増えている。違反に罰則はないが、従わないと市場から閉め出される事実上のルールだ。ESG(環境・社会・企業統治)投資も規制ではないが、取り組まないと評価されない。日本企業はSDGsに合致していると安心して終わらず、ソフトローづくりに加わってほしい。
(聞き手・松木喬)
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
SDGs、ESG投資。どれも規制ではないですが、企業は取り組みを始めています。企業の発行物についている「SFCマーク」。マークがなくても発行できますが、大企業ならほぼマークありでは。これもSoftLawです。民間同士の決め事が事実上のルールになっています。

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